□ 記録13 ページ15
「……………っ…!」
唐突に、面食らったような表情になるサエウムの顔を見たアルマは、それを別段気にすることもなく、そこに佇んでいた。
「あは、僕が正しいと思えば全て正しかった……それでも、狂ってるって言うのだろう?」
サエウムの焦りにも似た表情に、構わず話を続けるアルマに、およそ感情と呼べるものがあっただろうか。
サエウムの視線は、アルマではなく、既にピウス一点のみだった。
「っか、は……は、ぁ……サ…エウム、さん…」
弱々しくも壁を伝ってアルマ達の所へと歩み、掠れた声でサエウムの名を口にする。
「………っ、ピウスっ!」
その言葉に対し、ほとんど反射的にピウスの方へと駆け寄るサエウム。
「さ、サエウム、さ……どう…いう……?」
息も絶え絶えに、サエウムに状況を説明して貰おうと試みる。
「……アルマが狂った。それだけだ」
本当であれば、もっと言いたいことがあるのだろう。
が、簡潔に言うことで、ピウスのショックだか何だかが和らぐと思って。
「そう……ですか………っ」
「っ……ピウス!」
力が抜けたのか、ぐらついたピウスを、咄嗟に支えるサエウム。
そんな衰弱したピウスを一瞥し、それから、いつの間にか此方を見ていたアルマを睨み付ける。
「お前が、ピウスをこんなボロボロにしたんだ。分かってるのか?これが悪いことだって」
静かな怒りの籠った言葉は、アルマに響いたようには見えず、ただそんな睨み顔を眺めるだけだった。
「あー、そーだよ?僕がやったんだよー?」
軽い、その場のノリのような言い方に、苛つきが和らぐはずもなく。
「自覚があんならよぉ、何で正しいことだと勘違いした?」
「勘違いじゃないよー、事実だものー」
「真実な訳ねぇだろ。人を殺してはいけない、または、殺すようなことはしてはいけないって言うのが定説で、真実なんだ」
「お、お二人とも……やめ…」
首の痛みに顔を歪ませながら、ピウスが悲痛に訴える。
その声を聞いて、ふっと我に帰れたのはサエウムだけだった。
「………じゃあ、アルマよぉ」
「んー?どうしたのー?」
無気力に、狂ったように返事をするアルマの言葉には、目も耳もくれず、サエウムは続けた。
「運命の判決と洒落込もうじゃねぇかよ?」
運命の判決。
それは、この三人にとって、どう出るのだろうか。
夕日がとっくに沈みきった空には、一番星が見えていた。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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