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二十九話 可可阿 ページ30

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猫小姐は引き出しの端から順に薬草を取り出す。


使えそうな材料とそうで無いものに分け、それぞれを丁寧に薬包紙に包む。


最後はそれに、私が筆で名前を書く。


「自分で書けば良い」と思ったが、どうやら壬氏は私にも仕事を与えたいらしい。


『(普通字を書くなら木簡だけど、紙を使うなんて医務室というのは随分贅沢な所だな。)』


「一体何をしているんだ?」


「お気になさらず」


どじょう髭の医官が、興味津々で覗いてくるので、宦官は気を利かせて戸を閉めた。


彼の名前は高順(ガオシュン)というらしい。


寡黙な顔立ちをしたがっしりした体つきの宦官は、こんな場所にいなければ武官と間違えていた筈だ。


『(そうでなくても女官の話題になりそうだ)』


壬氏の副官らしく、彼についている事が多い。


猫小姐は彼に、引き出しが高い所にある薬草を取ってもらうように頼んでいた。


だが、その上司は何もしていない。


『しないならどこかに行けば良い』


なんて口が裂けても言えない。彼に逆らえば頸が安易に飛ぶ事などわかりきっているから。


「!!!」


引き出しの一番上だろうか。


猫小姐が引き出しの名前に見覚えがあるものを見つけたようで、満足気にとってもらうよう頼む。


『(あー...なるほど)』


高順に手渡されたそれをみると、どうやら猫小姐が望んでいるような物が作れそうだと察する。ただ、


「(数がなあ)」


数が足りない。大きさが一握りしかないのだ。


『これだけじゃ足りないですね』


「ならば、用意すれば良いだけのことだ」


無駄に笑顔を振りまく美丈夫は簡単に言ってくれる。


「西の端にあるものですよ」


「交易品を探せば見つかるだろう」


壬氏は種子を一つ摘む、杏仁に似た形をしたそれは、独特の臭いを発していた。


「これはなんというのだ」


青年の質問に私は答える。


『これは可可阿(カカオ)です』



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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (12月14日 1時) (レス) @page34 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - オチは出来たら愛されエンドか全員のオチが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (10月24日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 続き待ってます!更新頑張ってください! (2022年7月3日 18時) (レス) @page34 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
akane0731akane(プロフ) - 面白です!更新待ってます! (2020年4月14日 22時) (レス) id: 4d9b400674 (このIDを非表示/違反報告)
水無月胡桃(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!!励みになります! (2020年1月30日 16時) (レス) id: 1710749122 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水霧 | 作成日時:2019年11月30日 17時

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