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屋敷へと ページ3

「…落ち着いた?」
「うん…」
目が腫れて痛い。
でも放っておいたら妖気で回復するだろう多分。
それに、今は早く行動に移りたい。
「あのね―――」
どぬくはもふに、すべての事情を話した。

「…なるほど」
もふは顎に手を当てて考える仕草をしながら呟く。
「でも、どぬくさんはこの後座敷わらしの人がどうなるかは分からないんでしょ?」
「…うん」
「だったら、今すぐ帰らないとやばくない?」
「…うん」
そう、実際落ち込んでいる場合ではないのだ。
でも、もしも今帰って、またあの言葉を言われたら―――
カタカタと震えるどぬくを見て、もふはしばらく考え込み、ニッコリと笑う。
「大丈夫!いざとなったら、俺が助けてあげるから!」
「もふくん…。―――分かった、師匠の所に戻ろう」
二人はお互いを見つめ合い、頷いて、えとの屋敷へと走った。


「言い過ぎた…」
一方、えとがいるのは自分の屋敷ではなく、療養中のシヴァの家だった。
「あのさあ、えとちゃん…落ち込むのは全然いいけど、なんで俺の家で落ち込むわけ…?」
「友達がいないんだからいいだろ…」
「急に悲しいこと言わないでよ」
両手で顔を覆い、シヴァの前で泣き崩れている姿は
シヴァが目の前で死んでしまったようにも見えなくはない。が、シヴァは全然元気である。
「ねー、えとちゃんのカワイイ弟子は、えとちゃんの事が大好きなんでしょ?」
「…もう嫌われたかも」
ネガティブ思考になってしまったえとを見て、シヴァは面倒くさそうに眉を潜め、ため息をつく。
「だとしても、だよ!あの子なら屋敷に戻ってくるかもしれないでしょ?
 ここにいたらダメじゃん!」
「…じゃあシヴァもついてきて」
「無茶言うな。俺、今背骨とあばら骨折ってるからね?あと俺Bランクの妖怪だからね?」
ムスッと頬を膨らましてはぶてているえとは、幼い童のようにも見える。
(そういえば、座敷わらしって童の姿をした妖怪だったな…えとちゃんがそんな感じしなさすぎて忘れてた)
ということは、一応子供ってことになるのか…?
いや、えとちゃんに限ってそれはないな。
「でも、サンザシを殺してるし…」
「…ん?妖精の子、来てたの?」
「ああ。シヴァの家の方向から来たし、サンザシは魔力量が多いから、てっきり気づいているのかと…」
シヴァはしばらく考えて、えとの方へ向き直る。
「えとちゃん、今すぐ帰ったほうがいいよ」
「…なんで?」
シヴァは今までの経緯を頭の中で思い返す。
そして、えとに言葉の意味を放った。


「多分、その妖精の子、偽物だから」

偽物だと思う訳→←泣いてしまったほうが



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作者名:青空 冬 | 作者ホームページ:sakurasaku  
作成日時:2024年2月10日 22時

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