虹色の子 (ページ3)

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✾励ましの言葉ページ3

次の休憩時間は、廊下ではなく階段にいることにした。
屋上に続く階段は人が来なくて、ゆっくりしていられる。
チャイムが鳴るまでここにいようかな…。

「るなさん」
「ひゃっ…⁉」

この声は…

「なおきりさん⁉」
「なんでこんな所にいるんですか？」

確かに、ここはホコリまみれで汚くて
とても女の子が来る場所には見えないだろう。

「あはは…ここが１番、人が来ないので」
「…」
「私の秘密の場所、みたいな？
　みんなには言わないでくださいよ！」

明るく言ってみても
なおきりさんは黙ったままだ。
私、なにか怒らせちゃったかな…。

「僕も…」
「？」
「僕も、この場所にいて、いいですか？」
「え？いや…汚いですし…」
「いいですよ、僕は。いいですか？」
「そりゃ、１人くらい増えてもいいですけど…」
「本当ですか！ありがとう…！」

そう言って笑うなおきりさんは
なんだか、クラスで自己紹介した時のキラキラした笑顔じゃなくて
普通の、青年の笑い方に見えた。

〈ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…〉
あ、電話。

「もしもし…って、お父さん⁉」
「…？」
「うん…うん…え⁉ほんと⁉よかったぁ…！
　それじゃ！…え？私も？ちょ、聞いてないって！
　うん…うん…まあ、それくらいなら…。
　わかった！じゃ、切るね！」

「どうかしましたか？」
「んー？バイトが見つかったの！」
「バイト？」
「そ！」

よかったぁ…
これで、やっと…

「家庭教師？のバイトで
　なんかお金持ちの人の家に教えに行くみたいなんです！」
「…へー、よかったじゃないですか！」
「はい！これで、エビフライ定食が頼める…！」
「エビフライ、好きなんですか？」
「はい！私美味しいもの、好きなんです！」
「そうなんですね…」

「あ、そろそろ授業始まりますよ」
「え⁉そうなんですか⁉戻らなきゃ…！」

走ってクラスまで戻る。
入って席についたのが同時なのが
なんだか、少しムズムズした。

「え、あいつが遅刻しなかった…⁉」
「意味わかんない…」
「てか、なおきりくんと帰ってきたよね」
「まさかまさか…！」

「また今度、エビフライ分けてあげます！」
「え⁉いいんですか⁉」

周りの噂も
目線も
なおきりさんと話してたら
気にしなくていい…。
そんな気がして
なおきりさんと話すのが、少し楽しみになった。