狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

＊ ページ29

宏太side



雄「大丈夫？」

涼「ん…………ごめ、」

裕「起き上がらないでいいよ？まだ時間あるし」



……すぐに車に戻ってからしばらくすると、涼介の呼吸も少しずつ収まり。

後ろから荷物を持ってきてくれた雄也と秀さんも、心配そうな顔を覗かせた。



…うーん…涼介は文化祭、一緒に回れそうもないかな………







大「……あの、さ」

宏「ん？」

大「…………いや、あの…言いたくなかったらいいんだけど。……………ここで、何かあった…？」







……ピクっと反応する涼介と俺。

チラリと涼介の顔を盗み見れば……その目は、俺の方に向いていて。



こんな反応、大ちゃんの疑問を肯定してるようなものだ。


それは分かってるけど、どうしても、スっと言葉が出てこない。






大「さっきも……怖かった、って言ってたから………あっ、いや、ほんとに！言いたくなかったらいいから！ごめん！」




そういう大ちゃんだけど、大ちゃんだけじゃなくて。

裕翔も雄也も、きっと何かあったことには気づいてて、気になっていて、でも聞かないでくれている。








………言うか、言わないか。

それは、俺が決めることじゃない。





宏「………涼介」




初めて、秀さんの前で名前を呼ぶ。

涼介はその声に反応して………恐る恐る、フードを取って。







涼「…………あんまり、楽しい話じゃない、けど………」

裕「…話して、くれるの…？」








裕翔の言葉に、涼介はゆっくりと頷いた。







秀「あ……俺、そしたらちょっと外に…」

涼「………秀さんも、いて……ください」

秀「……、分かった。………ありがとう、涼介くん」

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