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四十四話 ページ46

















「…で、そこの郵便局を曲がったらすぐです」

「ありがとうございました」


駅までの道をAと少し離れたところで確認して
彼女は丁寧にお礼をいってくれました。
やはり近くで見るととてもきれいな人ですね。
そんなことを思いながら彼女を見ていると



「頑張ってくださいね」


そういって彼女は僕を見ました。


「え?」


その意味がわからず首を傾げると
彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべて
“好きなんでしょう?彼女のことが”
そういって悪戯っぽく笑いました。


「…なんで?」


思わず目を見張り彼女に問いかけると


「昔の私と同じ目をしていたから
好きで好きでたまらないっていう目」



一瞬切なそうな表情を浮かべたような気がします。
でも、僕の気のせいでしょうか?
だってすぐに


「あの子、本当可愛いですよね」


今度はぱぁと楽しげな笑顔を浮かべましたから。


「優しそうですし
なんか、もうお姫様みたいな、感じで!!」


“幽霊の人がメロメロな理由もわかります”
なんて言われたらさっきの切ない表情のわけを聞けるわけもなく
“幽霊の人?”
なんていうふうに返すのがやっとで…。


「私の中で、幽霊の人だからいいんです」


そんなふうに自信満々に言われても、なんて思っていると…。


「あ…、雨…」


彼女のそんなつぶやきを聞いて咄嗟に
地面を見るとアスファルトにポツリポツリと雨粒が落ちていて…。
ふと視線を戻すとまた彼女のあの表情…。
悲しそうで…それでいてどこか自嘲気味なあの切なげな表情。
でもそんなこと問いかける間もなくパタパタという足音が聞こえるわけで…。


「テツヤ、傘持ってる?」


その足跡の正体はAで
困ったように僕を見るAを見ながら


「…持ってません」


申し訳なく思いながらもそういった瞬間傘の開く音とともに


「二つ持っているから、一つどうぞ!」


そんな声がかかり目の前にはさっきとは打って変わって笑って傘を差しだす彼女。


「さすが、おは朝ですね
ラッキーアイテムが傘でラッキーナンバーが2」


彼女はそういいながら僕の手に真っ赤な傘を握らせました。


「道案内のお礼です。あげます」


そういいながら、僕たちに背を向けて駅の方に足を向ける彼女に


「あの、ありがとうございます」


そう声をかけるといいえと言わんばかりに笑って


「縁が続けば、また今度!」


ひらひらと手を振りながら
傘を差して歩いていきました。

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設定タグ:黒子のバスケ , 黒子テツヤ , 帝光中   
作品ジャンル:恋愛
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うちわ(プロフ) - 桜さん» さてさて、いつでしょう?続編できたので、そちらもどうぞ!更新がんばりますね!! (2015年2月16日 17時) (レス) id: 678928963e (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 桜さん» さてさて、いつでしょう?続編できたので、そちらもどうぞ!更新がんばりますね!! (2015年2月16日 17時) (レス) id: 678928963e (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - りゃいむさん» 返信めっちゃ遅れてすみません><お久しぶりです!!はい、頑張りましょう!!ありがとうございます!がんばります!! (2015年2月16日 17時) (レス) id: 678928963e (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - サラ男。さん» 黄瀬君の扱いが酷いのは愛ゆえだよね←最近、うちわ、黄瀬くん好き! (2015年2月16日 17時) (レス) id: 678928963e (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 恋雪ゐねこさん» 返信遅れてごめん><それそれ!!っていうか三期始まったよね!!エンディングマジやばい// (2015年2月16日 17時) (レス) id: 678928963e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うちわ | 作成日時:2014年2月24日 18時

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