何度だって告白を (ページ25)

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【A】

『ねえそら』

そ「ん？」

『私、最近大事なこととか忘れてない？』

そらの顔が曇ったのが一目でわかる。私、自覚がないだけでそんなに物忘れ増えてるのかな。
というか、物忘れとかいう次元じゃない気がする。
最近はもう、起きた出来事をまるっとなかったことにしてしまうこともあるのかもしれない。そんなのは嫌だった。

そ「忘れっぽくはあるよねえ」

『やっぱり』

みんながちょっとだけ変に隠そうとするのが、私のことを不器用に守ろうとしているようで心が痛かった。だからこうやって遠回しにでもいいから言ってくれるのはありがたい。

『今までに私が忘れたこと、教えてよ』

そ「えー、俺もよく覚えてない」

『そんなすごい回数忘れてる？』

そ「いやそういうことじゃ…うん、まあそういうことになるかもしれない。わかんないけど」

『そっか』

気付いてないだけでたくさん迷惑をかけてるんじゃないかな。私の存在が負担になってたりして。

そ「日常生活には支障ないし、そんな頻繁じゃないから大丈夫」

私の思いを汲み取ってくれたみたいにそんなことを言う。

『私怖いんだ』

そ「怖い？」

『うん。いつかものすごく大事なことを忘れちゃったらって』

そ「例えば？」

『最悪、みんなのこととか』

そ「ないね」

『なんで言い切れるのよ』

そ「俺らの友情舐めちゃダメだよAちゃん。どれだけ長い間一緒にいたと思ってんの？俺らは一番Aが大事で、Aは一番俺らが大事。つまり忘れるわけない！言い切れる！」

根拠のない友情や愛情を語るところがそららしいなとおかしくなる。

『不安になってちゃダメだよね』

そ「ほんとに忘れっぽいだけかもしんないし」

『確かに』

そ「ごめんけどAならあり得る」

『すごい失礼だけど？』

だけど、できればそっちの方がいいなあ。
忘れっぽいだけなら、みんなのことや大事なことを忘れたりは絶対しないはず。

『なんかおかしいこと言い出したら言ってね。思い出すように頑張るから』

そ「任せて」

心強い味方がいるってすごい。
“任せて”の四文字で私の心をこんなに軽くしてくれる。

つ「ねえ今日ご飯どーするー！」

『叫んでる奴いる』

そ「戻るか」

『うん』