何度だって告白を (ページ22)

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【A】

今日はえいちゃんとお買い物に来てるんだけど、さっきから視線を感じる。嫌な視線じゃなければいいんだけど。

「あの、すみません、エイジさんですよね？」

しまった。話しかけられてしまった。しかも私と一緒にいる時に。こうなると絶対えいちゃんに彼女がいると勘違いされる。

え「そうっすよ」

にこやかに対応するえいちゃん。二人組の若い女性は生のえいちゃんを見て目をキラキラさせている。しかししばらくするとその目線は私の方に動き、

『彼女さんですか？』

と聞かれるのだ。

え「マネージャーです」

「そうなんですね！マネージャーさんまでめっちゃ可愛いじゃないですか！」

「エイジさんってほんとに髪さらさら～」

そう言って一人のファンがえいちゃんの髪の毛に触れようとする。なぜか胸がチクリと痛む。

え「ちょっとー、髪の毛色々気を付けてるから触っちゃダメだよ？ハイタッチ会でも触らせてあげた人いないんだからね？」

「えーじゃあ目に焼き付けとく」

しばらくして去っていく二人の背中を眺めてからえいちゃんに視線を移す。

え「今回はあんま深入りしてくるファンじゃなくてよかったな」

『そうだね』

相槌を打ちつつ、私の頭の中は中途半端に考え事をしているせいで逆に何も考えられてない。

えいちゃんってファンの子に何も触らせない。いつも華麗に避ける。
でも、私はいくら触っても許される。
私がいるから触らせなかったりして？
いやいやないでしょ。いけない優越感に浸る自分の性格の悪さにうんざりする。私だけ特別とか、そんなわけないのに。

え「そろそろ帰る？」

『そうだね』

え「話聞いてんの？」

『聞いてるよ？』

え「なんか最近ファンの子に会った後不機嫌になってる？対応待ってるのとかめんどくさい？」

『そんなわけない！』

思わず出た自分の否定する声が大きくてびっくり。

『ファンがいるってすごいことなんだよ。私なんて放っておいて対応しないと』

え「いい奴かよ笑」

『知らなかったの？』

え「いい奴じゃなかったら一緒に住んでない」

『一緒に住むってやっぱり特別なことだよね』

え「当たり前じゃん。俺がどれだけ信頼してると思ってんの」

ああ、嬉しくて今、顔真っ赤だろうな。
恥ずかしい。お願いだからこっち見ないでね。

これからもこの信頼を失わないようにしなきゃ。
信頼は、築くのは大変だけど失うのは一瞬だから。