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「はぁ……本当にウザイ」
私は今、梨花に浴衣を着付けていた。
「えーなんでーいいじゃん！浴衣かわいいじゃん！」
「あなたは着せてもらってる側だからそう言えるの」
私は呑気な梨花にムカつき、グイッと思い切り帯を占めた。「ぐぇ！」とカエルのような声が出て気持ち悪かった。
高尾くんが花火の話を出してから、1ヶ月。結局いつもの4人で祭りへ行くことになってしまったのだ。緑間くんがくるのは結構意外だった。まあ、別にだからといって何かあるというわけではないのだが。
「ていうか、なんで浴衣なの？普通の服でいいじゃん」
「お姉ちゃん、何を言っているの！高校生で浴衣が着るってことがロマンなんだよ！と言っても高校生活はあと2年しか残ってないから、着るチャンスは本当に限られてるの！」
「あーはいはい。よし、終了」
「わーい！ありがとーお姉ちゃん！」
夢で溢れている妹が羨ましい気もするし、馬鹿馬鹿しいような気もする。
着付けが終わったと伝えると、梨花は鏡の前でくるくると回りだした。よほど自分の姿が気になるらしい。
そんな妹を横目に、私も支度を始める。すると、私の様子を見ていた妹がキレてくる。
「え！なんでお姉ちゃんは私服なの！」
「は？別にいいじゃん」
「ダメだよ！お姉ちゃんも浴衣着るのー！ほら！お姉ちゃんの分もちゃんと買ってきたんだから！」
そう言って梨花はどこからか新品の浴衣を取り出した。深い青地に、白色で花が描かれているデザインだった。花の部分はあまり多くなく、シンプルなのが特徴的だ。
ていうか新調したのか。お小遣いをそんなことに使っていいのか。
「別に頼んでもないのに……」と、私がジト目で梨花を見ると、ピンク色の華やかな浴衣を着た彼女が、「着てくれないの？」と目を潤わせながら、私を見つめてきた。
「……はぁ、仕方ないなぁ」
「やったー！」
浴衣効果なのか、妹の健気さに負けてしまい、私が折れることになった。
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作者名：ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時：2022年5月10日 16時
