episode 13 ページ14
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広大な敷地の畑を抜けた更に奥。長い長い獣道を通った先。
さっきまでの拓けていた土地とは違い、両脇には木々が生い茂っている。たまに腕や肩にぶつかる枝が煩わしい。冬場だからまだ良かったものの、夏場だったら枝に葉も付くわけだし、虫なんかも大量発生しているだろう。とてもじゃないが、夏場に来たいとは思えないような道。
翔陽や西谷さんみたいなザ・少年!タイプの人達はむしろテンションが上がっていたけれど、インドアそうな人達は私のように、煩わしげな様子で歩いていた。
「あ、もうすぐ祠に着くよ」
先頭を歩く織田さんの声が聞こえ、ようやくこの獣道も終わるのかと安堵した。
すると前の方を歩いていた人達から順々に、「うおっ」「なんだアレ!」という驚いた声が飛び交う。後ろの方を歩いていた私は、自然とその声に興味をそそられ、時折背伸びなんかをして前の方の様子を伺おうとしたが、この巨人だらけの集団の中だと背伸びをしても前の様子が見えない。とても悔しいが断念。
──約数分後、獣道を抜けた先に、開けた空間。私より前を歩いていた人達がその空間にぽつぽつ、と立っている。
そして彼らの視線の先──織田さんが何やら手を合わせているその目の前には、木材で建てられたであろう少し大きめの古びた祠があった。
手を合わせ終わった織田さんは、手に持っていた蜜柑を祠にお供えする。祠の傍には、きっと集落の人達がお供えしたであろう供物がズラっと置かれていた。
あれ……私達も手とか合わせなくていいのかな?
少し戸惑ってしまう。でも織田さんからは何も言われなかったので、結局私達が手を合わせることは無く、「行きましょうか」と織田さんが切り出したのを合図に、私達は元来た獣道を戻り始める。
私は後ろ髪を引かれる思いで最後の最後まで祠の方をチラチラと振り返っていた。
道中、私の少し前を歩いていた犬岡君が隣を歩いていた白鳥沢の五色君と話していた。
「ちょっと怖かったッス……」
「す、少しだけな……雰囲気あったっていうか」
「なんか鳥肌たってきた……」
「バッ…! やめろ、そういうこと言うの……!」
体を震わせて腕を摩っている犬岡君。その怯え具合を見た五色君も、釣られるようにして腕を摩った。
冬場だから寒い、というのは分かっているんだけど、此処はさっきまで居た場所よりも遥かに気温が低いように感じる。
……そういえば、山の麓の街では雪が積もっていたのに、ここは全然雪積もってないんだな……。
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スピカ - 私もハイキューサーチに行っても見れませんでした…どうすれば見れますかね? (4月19日 13時) (レス) id: 75e3caad72 (このIDを非表示/違反報告)
白楊(プロフ) - ハイキューサーチに行っても見れませんどうすればいいですか? (3月10日 22時) (レス) id: 9084a50d79 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - フェルマーさん» ありがとうございます! (2021年6月26日 10時) (レス) id: e4b21374ad (このIDを非表示/違反報告)
フェルマー - えむさん» 作者様じゃないですが、HQ★searchと検索して1番上に出てくるランク集を選択します。そこでまたHQ★searchを選択しallを押します。すると240件くらい出てきます。そこで「嘘吐き女の、」というタイトルをクリックすると読めますよ!分かりにくくて申し訳ありません、 (2021年6月25日 19時) (レス) id: 6452396e63 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - コメント失礼します!調べても出てこないのですがなんと調べたら出てきますでしょうか?? (2021年6月24日 20時) (レス) id: e4b21374ad (このIDを非表示/違反報告)
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