▽File.05 ページ7
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A「ん……んぅ……?」
緑間「やっと目が覚めたか。」
A「え?あ…えっと……」
緑間「緑間だ。」
A「あ、緑間さん……あの、ここは…?」
緑間「見て分からんのか?病院だ。」
何者かに睡眠薬を飲まされて、ようやく目が覚めたA。
しかし彼女は、自分の今の状況が理解出来てないらしく、
「え?え…?」と戸惑うばかりであった。
そんなAに説明をいれたのが、
なぜだか可愛らしい猫のぬいぐるみを持って、
ベッド脇のパイプ椅子に座る、緑間であった。
緑間「睡眠薬を飲まされ、犯人に連れ去られそうだったのだよ。」
なぞの語尾と猫のぬいぐるみを気にしつつも、
Aは緑間にそこまで聞いて「あ、」と声を漏らした。
A「お、思いだしました…。でも私、どうやって…」
緑間「偶然居合わせた赤司が助けたそうなのだよ。…どうやったかは知らんが。」
眼鏡をクイッと押し上げてそう言った緑間。
A「赤司さんが…それで、その犯人は?」
緑間「…逃がしたのだよ。」
A「え」
思わず声を漏らしたAを緑間がギロリと睨めば、
Aは「す、すいませんっ」と勢いよく頭を下げる。
そんな彼女を見て、はぁ、と溜息をついた緑間。
しかしその溜め息は、呆れたような溜め息ではなく、
安堵の溜め息であった。
緑間「まぁ、お前が無事だっただけでも良かったが。」
A「え…」
緑間「だがあまり無茶はするなよ?お前は今日一課に来たばかりで、しかも女なのだからな。」
A「っ…」
緑間の言葉に唇を噛み締める。
彼女は昔から、性別や年齢などの差別があまり好きではなかった。
お前はまだ若いのだから、女なのだから、無茶をするな。
そう言われる事が、嫌いであった。
けど、今回ばかりは何も言い返しは出来なくて……。
A「すいません……初日から…迷惑、かけちゃって……」
緑間「…フン。次からは気を付けるのだよ。」
それだけ言うと、緑間は病室から出て行く。
青峰さんの言葉にビビって、うまく体が動かなかった。
背後を取られたからどうする事も出来なかった、なんて…ただの言い訳だ。
刑事は常に危険と隣り合わせ。
生と死が隣同士にある。
だからそれなりの覚悟が必要だ。
分かってる…
頭じゃ分かってるけど……
A「死ぬ覚悟って…なんだよ、それ……っ」
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作者名:doughnut. | 作成日時:2013年11月5日 15時