副業は武装探偵社員、本業は死神。 (ページ18)

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乱歩さんページ18

「やっと終わったねー！」

稲瀬がいなくなったかと思うと、乱歩さんが現れた。

今日はいつも以上に賑やかになりそうだな。

「乱歩さんは御存じでしたか？」

「Aのこと？」

可愛らしく首を傾け、太宰の言葉に応える。

「僕が知らないことはないからね！！」

自信満々に胸を張り彼は言った。

「…何か聞きたいことでもありますか？」

乱歩さんは私の事を知っているからあえて何も言わないのだろう。

それが彼なりの優しさでもあるかも知れない。…面倒くさいだけなのかも知れないが。

「君は答えてくれないだろう？」

「…明日、決着がついたらお話でもしましょうかね。」

その言葉に他の人は目を見開いた。

「きっと明日が終われば、色々あるでしょうし、私にも収集がかかりますからね。

…人間にこんな事を話すのはどうかと思いますが、それが今後に関わるというのなら話す必要があります。」

「Aはそれでいいの？」

その言葉に私は息を呑んだ。

その言葉を言われるのは二回目。

以前もこんな選択を迫られたときだった。

思い出したくもない記憶が蘇る。

優しく笑う彼の顔。

赤い赤い林檎のような色をした液体が地に広がっていく。

嫌になって私は頭を振った。

「乱歩さん、その言葉を使わないで下さい。嫌なことを思い出してしまいますから。」

「ん～。」

絶対に聞いてないな、この人。

…明日、私は稲瀬を倒さなくてはならない。

それが運命。

絶対に抗えぬ。

…でも、もし。

もしもの話。

私が彼女を変えられるというなら、

私は彼女を殺さなくて済むだろうか。

誰も殺さなかった彼のように。