37「・・・ごめん。」 ページ38
最悪な恋だった。
37「・・・ごめん。」
あまり人を無視したいなんて思わない。
でも、今日だけ。この時だけは。
思ってしまった。
『(振り返りたくない。)』
人違いだと思いたい。
ゆっくりと振り返る。
・・・ああ。
私、今年は多分厄年なんだ。
「・・・○○ちゃん。」
『・・・巧、先輩。』
そこに立っていたのは間違いなく巧先輩で。
ちょっと息を乱している。
巧「後ろ姿が似てて、追い掛けてみたら、本当に君だった。」
『え、えっと・・・』
巧「メール、見た?」
『あ、あの、昨日は忙しくて、返信出来ませんでした。す、すみません。』
巧「いや、こっちもいきなり送ってごめんな。」
ショッピングモール内は賑やかな筈なのに、
先輩の声だけはっきり聞こえる気がする。
『あ、あの、』
巧「えっと、ちょっと話せない?」
『え、』
巧「いや、話したい。外出よう。」
『へ!?あの、巧先輩!?』
_______。
__________。
強引に連れ出されたのは、ショッピングモールのすぐ横にある小さな公園。
私はベンチに座らされた。
巧「高校時代の事、本当に悪かったと思ってる。ごめん。」
『・・・。』
巧「もう遅いことは分かってるんだけど、俺、最低な事してたよな。」
『・・・えっと、』
巧「ごめん。本当にごめんな!」
『あの・・・。』
長い沈黙。気まずい。
どうしたらいいか分からない。
巧「・・・俺、来月結婚するんだ。」
『は?・・・ええ!?』
巧「だから、結婚する前に謝っておきたくて。」
・・・なるほど。
そういうことか。
今さらになって罪悪感か。
それは多分、私にではなく、
「今」の彼女に。
・・・ああ、なんかもう、
『(・・・吹っ切れた。)』
巧「だから、その」
『ご結婚、おめでとうございます。』
巧「え、」
『・・・大好きでした。先輩が。
だから先輩の事、一生許しません。
そのまま、今の彼女さんと幸せになって下さい。』
巧「・・・ごめん。」
『では・・・失礼します。』
どうしてだろう。
あれだけ想っていたのが嘘みたい。
涙は一滴も出なかった。
でも、こんなに切ない思いになったのは久しぶりだった。
『(最悪な初恋だったな。)』
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小夜(プロフ) - 姉さん» ありがとうございます!頑張ります!!(;_;) (2016年1月22日 1時) (レス) id: fa2c4eef6f (このIDを非表示/違反報告)
姉 - 頑張ってください!応援してます! (2016年1月18日 19時) (レス) id: 6847b52a8f (このIDを非表示/違反報告)
小夜(プロフ) - 羅虎さん» ありがとうございます!最近忙しくて中々更新出来ませんが、頑張ります( ;∀;) (2015年12月25日 18時) (レス) id: fa2c4eef6f (このIDを非表示/違反報告)
羅虎(プロフ) - こんばんは!宮地さん大好きなのでこれからも更新待ってます!! (2015年12月25日 0時) (レス) id: 1c137cc79e (このIDを非表示/違反報告)
小夜(プロフ) - ユキさん» わー!!ホントだ!教えて下さってありがとうございます! (2015年10月25日 17時) (レス) id: 4d8dfad001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小夜 | 作成日時:2015年7月1日 18時