鏡の呼吸 壱の型 ページ19
第170話の後。
速くしなきゃ!
私が…僕が戦場に行かないと、無一郎とか不死川さんを助けられないかも知れない。
駆けている時、物音が聞こえた。
誰かが、歯を食いしばる音。
「……!?」
音を辿っていくと、…これ…無一郎!!?
「無一郎!!?」
急いでそこへ行くと、無一郎が、柱に刺さっていた。
もう一度無一郎と叫ぶと、今までで一番早いほどの速さで駆け寄った。
「あぁ、墨……」
墨じゃねぇよ!
私は刺さっている無一郎の刀をゆっくりと抜く。
「___っ!」
「無一郎、痛くない、痛くない」
本当は瞬時にバッて抜き取りたかったけど、失血量が大変そうだから。
そして壁から取り、肩から抜いた。
日輪刀と同時に、無一郎も前へ傾く。
…つまり、私にくっつく。
僕の肩に顔を押し付けながら、肩を上下させて息をする無一郎に、僕は頭を撫でた。
「肩、止血するからね。痛いと思うけど耐えて」
刺さっていた方の肩に止血帯をかぶせていく。
あ、これは蝶屋敷で貰ったものだよ。
強く押さえる度にぎゅっと僕の袖を握る無一郎が可愛いと思った。
僕の目は一つを捉える。
「…あれ、玄弥くん?」
「玄弥!生きてるの」
それは、胴体が二つに切断された玄弥くん。
「大丈夫!?じゃないよね……」
「体、繋がる?」
黒死牟の髪の毛を持っていく。
ああ、どうか神様。
。
。
。
皆が、幸せになれますように。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零堂June | 作成日時:2020年9月2日 12時