期限付きで家事代行いたします。【櫻井孝宏】

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部屋に入るよう通され、「お邪魔します」と言いながら入った部屋は、今まで芸能人のお家紹介みたいなのでテレビで見たことあるような、無駄に広くて無駄に間接照明が多いような、そんなお家だった。
ていうか私がいなくても十分お部屋綺麗なんだけど？





「思ってたよりも随分若い子が来てびっくりした」





ぼー、っとお部屋を見ていたから慌てて男性の方を向くと、クスクス笑いながらリビングの方へと歩いて行った。


そういえば、さっきインターホンで聞いて私と歳の近い方と勝手に想像してたけど、もう少し上の年代のようだ…。
でも服装や髪型、容姿、そしてやっぱり声色は、年齢不詳といっても…過言ではなさそう…、全く想像出来ない…





『…あ！申し遅れました、山田さんがお休みの間お世話になります、AAです。よろしくお願いします！』


「お世話になるのはこっちだよ、こちらこそ、よろしくね」




そう言って柔らかく笑う目の前の人を見てると、なんだか周りの空気までもがふわふわしてきて、不思議な気持ちになる、
あれ、私っておじフェチだったかな…おじさんって失礼か…？


なんてアホなことをグルグル考えてると、「あっ、」と何か思い出したようだ




「俺のこと、聞いてる？」


『ええと…、声優さん、としか…私も急に決まったので細かいことは聞いてなくて…』


「そっかごめんね、もうわかってると思って自己紹介もしてなかったや。
櫻井孝宏といいます。さっき言ってた通り、声優やっております。」


『櫻井さん、よろしくお願いします！私声優さんとか全く知らなくて、失礼なことも多々あるかと思いますが…』


「いいよいいよ、寧ろ知らない方が俺もいいから笑 ていうか、そんな取引先の相手と話すみたいな硬い喋り方じゃなくていいんだよ？全然楽でいいから」


『そう…ですか？』


「俺そういうの気にしないからさ、お互い楽しく過ごそうよ」





ずっと緊張しっぱなしだったこともあるけど、そう言ってくれたことや、櫻井さんの優しい表情だけで、徐々に強張っていた肩が解れるようだった。




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