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「ッおい太宰!俺とAの家を勝手に物色すんなよ!」
「いいじゃないかー。この土地は私の物だろう?」

どしどしとまるでお相撲さんが歩いているような音が立っている方へ顔を向けると、成人男性に
しては背が低く、痩せておりモデル体型ではないが、スリムな体形でこれまたこちらも顔立ちが良い
男性が大層御立派な様子で太宰と呼ばれた男性に怒鳴った。男性はへらりと笑っている。
嗚呼、いったい私はどうすればよいのだろう。こんなことは後にも先にも始めてだ。
成人男性二人が自分の目の前で喧嘩をしていたらどうすればいい?しかも相手は知らない人。
思わず私はすっと携帯を取り出し先生に聞いたが何をおっしゃってるのか分かりませんと
なんとも冷たい返答を返された。

「、お、A。帰ってたのか」

先程まで喧嘩をしていたが、私と目線がぱちりと交わると先程まで眉を吊り上げ怒っていた男性だが
穏やかな顔になりお帰りと、ふっと微笑んだ。

「…ただいま」

一応これはただいまと言った方が良いのだろうかと悩みに悩んだ末、ただいまと返事を返しておく。
背の高い男性は私には返してくれなかったのにーと嘆いていたが、男性はそれを無視して
招き猫のように寒いだろ、入って来いと手で招いた。なんとも不思議な気分であるが
一応従っておくかと普段の私からは考えられない考えに至った。

「飯、出来てんぞ」

色々と資料が入っている肩にかけているバッグをさらっと取り、陣を斬るように先頭を歩いている。
ぺちゃくちゃと目の前で会話をしている男性二人。私は静かに眉を寄せ、貴方達、誰ですか?と
聞いた。嗚呼、我ながらに偉いぞ自分よ。モルモットなみに臆病な自分であるがこんなことを
聞けるだなんて。偉い成長したもんだ。

「え!?私たちの事知らないの!?私達ずっとAちゃんの事見守ってたのに」
「太宰、知るわけねェだろ。だってAは俺達の姿を見るのは初めてなんだからよ」

意味の分からない会話を交わす二人に何を言っているんだと更に眉をひそめた。

「まァ、A。お腹空いてるだろ。飯食べ終わったら全て話すからよ」

テェブルの上にはこれ程までない御馳走がずらりと並んでおり、美味しそうな匂い、湯気が
宙を漂っていた。

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作者名:双黒尊い… | 作成日時:2019年12月3日 20時

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