幸福な死を

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4話ページ4

「…ここ」

彼女が指をさした場所には赤黒く染まった死体が一つ横たわっていた

そして近くには子供一人入れそうな穴もあった

僕は彼女からスコップを受け取り、穴を掘り始めた

「ねぇ…」
彼女が声をかけてきた

「なに？」
僕は手を休めることなく聞き返す

「君は、私のこと好き？」
突然そう聞かれ、彼女の方をチラリと見た

彼女は体操座りをして、膝に顔を埋めていた
「もし、そうなら」

君に殺してほしい

ポツリと呟いた

涙を堪えるような震えるような声に僕は動揺した

もし、好きな人に殺してほしいなんて言われたら？

もし、好きな人の望みは叶えてあげるって自分がその人に教えてあげていたら？

…もし、彼女がそれに救いを、求めていたら…？

どうするのが正解なのかなんて、僕には、わからない

「大好きな君に殺されたい」

顔を上げた彼女の頬を涙が伝う

気づけば男の人一人入れそうな穴ができていた