11話 私の過去 ページ11
そうして彼はこの町から去っていった
それからどのくらいたったのかはわからない
数ヶ月?一年以上?
とにかく長い日々を私は虚無感に苛まれながら過ごした
そして、ある日突然施設に見知らぬ大人がやってきた
その大人は私を見ると腕を引っ張り
「こいつにする」
といって、施設の大人にお金を放り投げた
(あぁ、売られたんだ)
わかっていたけど、もうどうでもよかった
その日から「愛してる」「好きだよ」
と毎日のように囁かれ、嬲られた
ずっと彼のことは忘れられなかった
ホントは愛をおぼろげに知っていた
施設の大人がよく拗らせ、そして言い合ってたから
けれど彼がそれ以上に自分にとって大切だとわかっていた
だから、あの日試すように「好きな人って?」なんて聞いたんだ
彼にとっての自分がそうならいいのに、と
結局、わからなかったけど
けれど彼は言ったんだ
「好きな人の望みは叶えてあげる」って
好きな人はわからないけど、私を好きって言うこの人の望みを叶えれば
私は君が言ってたこと、守れるのかな
この人がお腹空いたと言えばご飯を作る
この人が来いと言えばついていく
この人がウザいと思った人を貶める
この人が借金を作り死にたいと言えば……
殺す。
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作者名:アリス | 作成日時:2021年7月25日 0時