藍の海に沈む【BLEACH】

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へにゃりと笑ったAは、もうとっくに出来上がっているにも関わらず、また酒を呷る。彼女は決して酒に強い訳ではないが、ここまで酔っているのを見るのは初めてだ。

「...私ねぇ、捨てられちゃうかもしれない」

「えっ？」

Aが急に大人びたのはいつだったか。本人は自覚していないようだが何処か雰囲気が色っぽくなり、表情が少し憂いを帯び始めたのだ。彼女を問い詰めると恋人が出来たと白状したが、決して相手や実情を話す事は無かった。嘘や隠し事が得意ではない彼女がここまで頑なに何も言わないのは相応の事情があるのだろうとそれ等を聞かないでいた。けれど、今の一言は聞き捨てならない。

「A、それどういう事？」

「んぅー...内緒ぉ。でも、平気。大丈夫」

支離滅裂な文。それは私への答えであると同時に彼女自身への自戒のようにも聞こえた。だって、今にも泣きそうな顔でそんな事を言うんだから。Aの相手は、一体彼女をどうしたいのだろう。

「大丈夫じゃないでしょ、そんな泣きそうな顔で」

「ふふ、酔っ払いの戯言だよ。気にしなぁいの」

ゆっくりと眠たそうに机に頭を預けたAの顔はよく見えない。けれど、彼女の頬に何か伝ったのは確かだ。

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