藍の海に沈む【BLEACH】

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「薫れ風蘭！」

私には義務がある。彼女の期待に応える義務。すなわちこの戦いに勝つ義務が。目眩も頭痛も吹っ飛んだ。眼前に見据えるは敵。迷うな、斬れ、そして楽しめ。掌から確かにそう伝わる。間合いが伸びた。身体も軽い。これなら...。動揺する相手を一歩踏み込んで斬った。広がる赤と黒は紛れもなく私がやったもの。

「まさかこれで始解を会得するとは。想像以上だよ」

「っ...藍染副隊長」

振り返ると本当に楽しそうに笑う藍染副隊長がいた。...どう足掻いても私では彼には勝てない。けれど構えを緩めてはいけない。そう思った。

「そんなに警戒しなくてもいい。もう君を始末する必要はないからね」

「どういう意味ですか？」

「そのままの意味だよ」

「...でも始末しないならどうするんですか？」

「私と一緒に来い、A」

ゾッとした。身体中泡立ってその場から動けなかった。あの夜なんか比じゃないくらいの恐怖。生きていてここ迄の感覚は初めてだった。でも、目を閉じてはいけない。逸らしてもいけない。此処で流されてはダメだ。自分でしっかり見定めろ。

「...理由を、聞いてもいいですか」

「勿論。先ずは霊力感知。十二分に利用価値がある。次に戦力。今の始解で君は霊力が飛躍的に上昇した。そして君は剣に関しては達人並だ。戦力にならない訳が無い。そして、最後に僕は君に興味が湧いた」

「興味...？」

「そうだ。君は今酷く恐怖している。当然の反応だ。けれど同時に安堵している。そんな反応をされたのは初めてでね。そんな君が僕と行動を共にしたらどうなるか興味がある」

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