6. ページ41
.
私と太宰は、夜の道を歩いていた。
中也はあのままずっと寝たきりだった為、太宰が、よし、置いて行こうと私の背中を押した。
ま、万が一組合に襲われたとしても中也なら簡単に死なないか。
森を抜け、私達は晩香堂へと歩く。
崩壊した街の上に、疎らな星が静かには私達を照らしている。
「寒くないかい?Aちゃん」
空を仰いでいた私に、ふいに太宰がそっと話し掛けた。
私は首を横に振り、大丈夫、と云う。
少しの沈黙。
「ねぇ太宰」
此の言葉を云うのに、どれ程に緊張するか。
太宰は、んー?と夜を満喫しながら呑気に答えた。
そう云えば夜は良いとか前云ってたな。
私は、口を濁らせながら何とか内容を口にした。
「私、実は__。
違う世界から来たの!!」
「うん。知ってた」
「だよね〜初耳で驚愕したよね〜。
ってえええええ!!??」
誰も居ない街に私の声が響く。
太宰は訳が判らないと云うように顔をコテン、と横にする。
「い、何時から!?」
追いつけない頭を何とか回転させながら太宰に問う。
太宰はプッと吹き出し、空を仰ぐ。
「かなり前だよ。
Aちゃんと敦君の入社試験の時。
まぁ勘づいたのは出逢った時だけど」
そんな前から……。
え、というか何で気付いたの!?
と疑問を口にする。
「だって、Aちゃん此処らへんの地帯判ってなさそうだったし。
しかも私と同様、川に飛び込んでいた理由が咋じゃ無かったからね。
其処で少し可笑しいと思った」
そして、と太宰は話を続ける。
「極めつけは入社試験時。
Aちゃんにとって頭が回ってなかったし、あまり記憶が無いかもしれないけど、Aちゃん云ってたよ。
『慣れない環境』とかうんたらかんたら」
最初は信じられなかったけど、異能力が飛び交う此の街でも有り得るだろうと結論。
らしい。
太宰は私に笑顔を向けた。
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
2キング(プロフ) - 黒九尾*さん» 親の前でいきなり笑ったら凄い目で見られますよね…。私もよくやるので家族から変な人だと認識されてます←更新頑張ります!! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1ed813b825 (このIDを非表示/違反報告)
黒九尾*(プロフ) - メルヘンチックとリアルが全然違って親達の前で吹いてしまった、キャラ達との会話が物凄く面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2017年3月12日 19時) (レス) id: 5efd775a88 (このIDを非表示/違反報告)
2キング(プロフ) - ヲタク様さん» 閲覧ありがとうございます!こちらも引き続き見てくれてとても嬉しいです!応援宜しくお願いします。 (2016年12月26日 13時) (レス) id: 36a5dfc320 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - こんにちは!【元】『ミミミの松』です!見れました!凄く面白いです!これからも応援するので、頑張って下さい! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
2キング - リビリンスさん» 有難うございます!乱歩さんが1番やり過ぎてる感じしてますよね……w私自身、乱歩がどうしてあそこまで行ったのか分かりません←←こんな作者ですが、これからも宜しく御願いします!! (2016年11月14日 16時) (レス) id: 09facf1319 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:2キング | 作成日時:2016年8月31日 14時