もしも神がいたのなら ページ10
「これを偶然だと思うかい?」
白髪の男はしゃがみこみ、あたしに問いかける
慈悲を持っていながら、残酷なまでに現実を突き付けてくる声音に私は耳を塞ぎかけた
「ボクはキミに提案をしに来たんだ」
『……提案?』
半ば自棄になって呟いた
未だに脳内は“なぜ”という単語がパレードを続けている。だってこんな理不尽なことは他にない
「“原罪”というグループを知ってるかい?」
『国内最大級の犯罪アブノーマル集団』
「ボクはソレのリーダーだ」
涙が滲んでいた瞳は大きく見開かれた
こんな若い人が犯罪集団のリーダー?
それが本当ならば間違いなくかなりの実力者だ。そして最悪の犯罪者でもある
「あぁ、でも1つ訂正したいことがある。ボク達は法に触れるようなことなど何もやっていない」
『え?』
「放棄区域に住んでいるアブノーマルや、“施設”に入ることを望んでないアブノーマルを救っているだけだ。これのどこが法に触れている?」
『アブノーマルをイノセントの監視下に置かないことは法律違反だったはずです』
社会科 公民担当の久川の言葉が思い出される
「アブノーマルは極めて危険な存在とし、イノセントはこれらの人種を監視下に置くことを法律で定め……―――――」
「基本的人権の尊重」
『……なんですか、それ』
「日本国憲法第11条で掲げられているものだよ。簡単に言ってしまえば“すべての人間の権利は公権力に侵されない”ということだ」
男は皮肉げに笑ってからソファーに座る
堂々と足を組んだ姿も様になっていてなんだか途轍もなくムカついた
「お笑い草だろう?つまり、ボク達アブノーマルは“人間”と認められていないんだ」
――――ハンマーで頭を殴られたような衝撃があった
人間なのに人間と認められない
その存在はどれだけ悲しいモノなのだろう
「ボクはそれが許せない。だから“原罪”を作ったんだ」
その美しい指先があたしに伸ばされる
どこもかしこも白い、天使のような笑みを称えたその男は告げる
「ボクのところにおいでよ」
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レナ - イチゴさん» なるほど!おしゃれさんなんですね! 答えてくださってありがとうございます! (2016年5月26日 21時) (レス) id: 6e9ebd2cea (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - レナ さん» 気分によって変えているイメージです。固定していなくてごめんなさい (2016年5月26日 20時) (レス) id: ecd6285e40 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 読み返して思ったんですけど、アムちゃんの髪型はツインテールなんですか? ポニーテールなんですか? (2016年5月26日 17時) (レス) id: 6e9ebd2cea (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - sati-さん» コメント、ありがとうございます!お褒めの言葉をいただけて光栄です (2016年4月19日 22時) (レス) id: db2b138bbc (このIDを非表示/違反報告)
sati-(プロフ) - はじめまして☆面白いです(*^_^*)私もこんな小説を書けるようになりたいです (2016年4月19日 21時) (レス) id: c5222df078 (このIDを非表示/違反報告)
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