�� ページ25
彼女は腕を緩やかに真一文字、横に振っただけだった。それだけであれほど喧しかった彼らは倒れて物を言わなくなった。
どのような技かは知らないが何か気絶させるツボでも押したのだろう、と気を抜いたが隣のレオリオは青ざめながら言った。
「どうやって殺した？」
は？と声が漏れる。
「オレは医者志望だから分かるぜ。その筋肉の弛緩は死んだ時にしか起こらねえ」
『なに、人には少し刺激されただけで死ぬ箇所がある。そこを押してやっただけだ。血が出るのも面倒だし不快なのでな』
オレは今まで誤解していた。この人は簡単に、息をするよりかも自然に、人を殺す側の人間だ。
それは獣の行為だ。嫌悪すべき野蛮な行為だ。幻影旅団と同じ人種だ。しかし何故だ、何故こうも彼女は！
美しい？
女性としてではない。人間としてではない。ただ単に、そう！飾られているだけの美術品のように。彼女は美しいという言葉を何も介せずにその身で体現してしまっている。
それは一種の恐怖だった。概念を概念のまま認識させるなど人の成せる所業ではない。
パン、という手の平同士がぶつかる時に鳴る破裂音で彼女に集中しすぎていた意識が霧散する。もう彼女は普段と何ら変わらない“人”であるかのように思えた。
『さて、私は寝心地の良い場所を探しに出る。ああ、その肉はハンター協会に伝えて処理させるから安心していいぞ』
その言葉で腑に落ちる。
――――ああ、彼女にとって彼らは人間ではなく“喋る肉”だったのだ。
幼子が蟻を踏み潰す時にそれを自分と同等の命だと思っているか？酔っ払った人間が焼き鳥を食べる時にそれは嘗て自分と同じく生きていた尊い生命だと意識するか？
否。それらはもう、彼らからしたら命であったという認識ですらされないような存在だからだ。
Aはその範囲が通常の人間よりかもかなり広いのだろう。恐らく、自分の知り合い。それも気に入った人物だけを生命として扱い、無下には殺さないように努めているだけだ。
もし私たちが船の中で出会っていなかったら？キルアと親しくしていなかったら？廊下ですれ違うのが邪魔だというだけで殺されていたかもしれない。
「……怖えぇな」
「……ああ」
レオリオも同じ心境だったらしく、この男には似合わない沈んだ声音だった。
目を閉じ、脳裏から彼女の姿を消そうとする。
彼女が幻影旅団の情報を持っていたのは当然のことだったのだな、と初めて意識した。
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イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
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