届け、届け___

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「立花さん」



彼女が塾から出て来るのを見計らって声をかける。



彼女は一瞬ボーッとして、そして思い出したような顔をした。




「あ、筆箱の…」

「話があるんだ」



そう言って、人気のない道に連れて行く。





「俺、立花さんが好きなんだ」


「…え？」





立花さんは驚いた顔をする。


そんな表情も愛らしくて、ついつい頰が緩んでしまった。





「俺と付き合ってくれない？」






そして俺は、彼女にこの一週間のことを話して言った。



毎日 彼女の後をつけていたこと。

それで家の場所や塾の場所を知ったこと。

学校での過ごし方。







立花さんの顔が恐怖に染まっていく。






「ご、ごめんなさい。
私、貴方と付き合う気ないから」

「どうして？」

「どうして って…」




なぁ、教えてくれよ。

俺の何処が悪いの。









…こんなに好きなのに。









・









・









その時。

誰かの視線を感じた。


その方向を見ると、一人の男子が 目を見開いて固まっていた。


立花さんも気づいて、俺の視線の方向を見る。

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