藍沢先生…！！5

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数日後＿＿＿＿＿



藍沢は、目を離せば自分を傷つけた。


傷つける前に止められたことはあるものの、
その回数は少ないものだった。



左手首の包帯もなかなか取れず、食事もまともに摂らない藍沢は、以前より痩せた。



食事を摂らない藍沢は、今は栄養剤の点滴で栄養管理をしている。


口から食事をとらないし、栄養剤だけでは十分な
栄養はとれない。



まだ身体の痣のことだって、まともに話を聞けてない。


……どうしようか、と考えていた時だった。




ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀｯｯという音が聞こえてきて、そちらに目をやると顔を青ざめた雪村。


「藤川先生!!……っ、藍沢先生が、！」



その声に、またかと思いつつ、もうそろそろ、本格的にまずいとさえ思い始めていた。



＊＊＊

ｶﾞﾗｯｯｯ,と雑に開けたドアの先には、
何も映していない虚ろな目で、自分の左手首を見ている藍沢だった。


「おい、藍沢！！……雪村、縫合セット頼む。」

藍沢「…………」


今日で藍沢が自傷行為をするのは、入院してから6回目。


縫合した後も同じところを傷つけてみたり、
違うところを切った時もあった。




縫合し、藍沢が落ち着いたところで、
いつもの様に話しかけた。

それでも、いつものように反応はなく、俺は仕方なく病室を出た。


＊＊＊＊

藍沢side


気付けば傷つけていて。

気付けば処置されていて。



あの時から藤川は、声をかけてくれるようになった。

それでも、返す気にはなれずにいた。


身体の痣のことも、聞いてくるし、
何故自分を傷つけるのか＿＿＿＿＿＿

そんなことも、優しくいつものトーンで話しかけてくれる藤川に、申し訳ないとは思っていた。




けれど、入院してから、毎晩夢に見る、暴行を受けていた時の光景。


✲✲✲


"お前のせいだ"と

"お前のせいで人生が狂った"と



そう言われた自分は、母も、父も、祖母も、

黒田先生も＿＿＿＿＿＿




自分の大切な人は、自分の尊敬する人は、
俺のそばにいる人は、みんな離れていった。




俺と居れば、不幸になる。


俺が居れば、みんなが不幸になる。




俺さえいなければ、母さんも、生きていただろうに。



"お前のせいだ"

"お前なんて、要らないんだ、必要とされてない"




そんな言葉ばかりが頭を回る。




「……ｯ､ﾋｭｯｺﾞﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯ…ﾊｯ､ｺﾞﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯﾊｧ､ﾋｭｯ」



呼吸がしづらくなって、苦しかった。






＿＿＿＿でも、これで消えれるなら…………






そんなことが頭をよぎって、ナースコールも押さなかった。

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