藍沢先生…！！5

14＊ ページ17

藤川side



昼には手が空いたから、藍沢の検査をして、
検査結果を早めてもらった。


今日の夜には検査結果が出るらしい。



「再発……してないといいんだけどな…」

藍沢「…………。」



その言葉に、藍沢は何も返さなかった。




＊＊＊＊


ナース「藤川先生！…先生宛に封筒が届きました。…おそらく、検査結果かと。」


そう言って走って来たナースの手には、茶封筒。

「……あー、ありがとう」

そう言って受け取り、その日で封筒を開ける。




恐る恐る、その中身をゆっくりと出す。



＿＿＿＿＿＿

検査結果


患者名 藍沢 耕作


検査結果が出ましたので、お知らせ致します。






血液検査の結果、白血病の再発が見られました。




治療については、ご本人と御家族では相談し、
決定してください。

＿＿＿＿＿＿＿＿


そんな文を読んで、周りの音が全て消えたような………、そんなどん底に落とされたような気がした。





………なんで、だよ。


あいつ、あんなに頑張ったのに。

……抗がん剤で、ちょっと髪が抜けて、今やっと戻ってきた時なのに。


やっと、現場復帰が出来たって言うのに。




………なんで、アイツばっか……




そんな考えばかり浮かんできて。



何度も、何度もその検査結果を見直した。

見間違えじゃないか、って。



……だって、数ヶ月前にはヘモグロビンの数値も
一般の人と同じくらいにまで戻って、
それまでなかった食欲も、今まで通りに戻って。

……仕事に戻れた人間が、……再発。




………俺だって、医者だ。


再発が珍しいことじゃないことくらい、分かっていた。


………けれど、心のどこかで、"藍沢なら大丈夫だ"
って思ってたんだ。


………そして、この"再発"が、何を意味するかも…



暗い面持ちで医局に戻ると、藍沢が居て。


藍沢「……そろそろ、結果出るはずだろ…まだ来てなかったか？」

そう聞いてきた。


「……あ、あのさ、藍沢……」


どう言えばいのか………、分からなかった。

"再発してたんだ"なんて、軽く言えない気がして。


藍沢「………再発…してたんだろ、」

目線だけを俺が持つ封筒に目を向けながらそう言った。

藍沢「俺だって、医者だ。……それくらい、分かる……」


「……なぁ、……治療……、どうするんだよ…」

恐る恐るそう問えば、藍沢はﾌｩｯ,と息をついて言った。



藍沢「………治療…は、しない」





その言葉に、俺は何も言えなかった。

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