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捌拾壱話 ページ47

「久し振り、イシュリー。……いや、萩原って呼んだ方がいいかな?」


『意地悪ぃンだな、意外と』


「どう?思い出せそう?」


『さっぱり』


思い出す以前に、記憶が消されてるみたいな感じだ。


『大体、子供の時の事って覚えてねぇだろ。其れを"思い出せ"なんて』


「無理に決まってるって?そうでしょうね。媒体は"私"なんだから」


『は?』


ゆらり、ハギワラの体が揺れた気がした。


「私は"異能力"で生きている人形なの。私は貴方の其の記憶を綺麗さっぱり消したのよ」


『異能力の譲渡か?』


「そう。異能を"命"の核として使い、人形は異能力を使えるようにしてもらった」


話が読めねんだけど…。


『有り得ない』


「有り得ないって?此の異能力は可能だわ」


『なんで』


「此の異能力は治癒させる事が出来るの」


『チートかよ…』


頭を抱えると、「それだけじゃない」と云われた。


まだ出来るのかよ…。


「時間操作も出来るし、蝶を使ってシマのような部下も造れる」


『入社試験で爆弾の時間が止まったのも其のお陰だったのか』


「そうよ。其れから、"夢"を使って相手を混乱させる事もね」


『夢む、だからか?』


「中たり」


こっわ。


「でも、もういいの」


蜂蜜色の双眸が、俺を見つめる。


「貴方に、異能力をあげるわ」


『………そしたら、お前はどうなるんだ』


「ただの骸に戻る。でも、それでいいの。楽しかったから。いい夢を見させて貰ったわ」


ハギワラの体から蝶が出て来る。


「有難う、イシュリー。そして此れから頑張って。此の異能力がきっと必要不可欠になるわ」


『ハギワラ』


「もう私は萩原じゃない。……貴方も、萩原ではないけれど」


彼女はふわり、微笑んだ。


『朔』


「なぁに?」


『俺、異能力いらねぇよ』


「え…?」


ハギワラは首を傾げる。


『異能力嫌いだし。林檎とフェーヂャがいれば何も要らない』


「でも…」


『其の"異能力"は俺のじゃない。父さんのだろ?……父さんとアンタは暗殺,者(アサシン)だった。アンタは俺を生んだ後死,んでしまい、其れを悲しんだ父さんが自分の命と引き換えに"異能力"でアンタの核を作った。其れが丁度7歳の時。だろ?』


「…………ご名答。私は死,んだ事にして、記憶を消して貴方を施設へ預けた」


『母さんは死,んでる。アンタは母さんじゃない。家族を殺,した敵だ』


「だから、異能力も要らない。と」


『あぁ。もう護らなくていんだよ』

捌拾弐話→←捌拾話 針鼠と蝶



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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年10月15日 22時

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