肆拾壱話 ページ43
にっこりと笑うと中也は間抜けな顔になる。
その後、膝から崩れ落ち四つん這いになった。
「死,なす。絶対こいつ死,なす……」
「おっと、倒れる前にもう一仕事だ。鍵を壊したのは君だ。私が此の儘逃げたら、君が逃亡幇助の疑いをかけられるよ?君が云う事を聞くなら探偵社の誰かが助けに来た風に偽装してもいい」
「……其れを信じろってのか」
「私はこう云う取り引きでは嘘をつかない。知ってると思うけど」
「手前ッ…」
立ち上がった中也だが、すぐに座りこんだ。
「……望みはなんだよ」
「さっき云ったよ」
「人虎がどうとかの話なら芥川が仕切ってた。奴は二階の通信保管所に記録を残してる筈だ」
「あ、そう。予想はついてたけどね」
「てッ…」
中也の顔にまた一つ、青筋が浮かんだ。
ちっ、と舌打ちをすると私に背を向けて階段へ歩いて行く中也。
「用を済ませて消えろ」
「どうも、でも一つ訂正。今の私は美女と心中が夢なので君に嬲り殺,されても毛ほど嬉しくない。悪いね」
「あ、そう…。じゃ、今度自 殺希望の美人探しといてやるよ」
「中也………君は実はいい人だったのかい?」
「早く死ねって意味だよ。馬鹿野郎」
きらきらと目を輝かせる私を無視しながら突っ込みを入れる彼。
「云っておくがな、太宰。此れで終わると思うなよ。二度目はねぇぞ」
私を指差す中也。
「違う、違う。なんか忘れてなーい?」
そう云った私にぴしりと固まる彼。
くるり、内股で向き直り指を差された。
「二度目はなくってよ!」
まさに、予言通りだ。
私はお腹を抱えて笑ってやる。
「_______あ、そうだ。1つ忘れてた」
「ん?」
階段の上の何かを掴み、私にぶん投げてきた。
「おわっ」
なんとか受け止めると人間だ。
_______しかも、見た事ある顔。
「そいつ、返し忘れてた」
「A君…?」
すよすよと寝息を立てて寝ている。
「即効性の睡眠薬で寝かせてる」
「何もしてないだろうね」
彼を抱き締めながら中也を睨むと、にやりと笑われる。
「さぁな」
意味有りげな言葉を残して彼は階段を上がっていった。
「…………帰ろうか」
其の前に二階の、通信保管所によらなきゃね。
「A君どうしよう」
抱えて二階まで行くのも大変だしなぁ。
「ボクが見ておくよォ。なんなら、姿が見えないようにしてもいいけどォ?」
何処からか現れた少年。
「……じゃあ其れで、お願いするよ。シマ君」
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時