弐拾伍話 運命論者の悲しみ ページ27
「此処、は…」
目を覚ますと僕は
「気がついたか。全く此の忙しい時に…」
寝台の横にある丸椅子に座っていた国木田さんが声をかけてくる。
「僕、マフィアに襲われて…。そうだ、谷崎さんにナオミさんは!?」
「問題ない。今与謝野
「Aは!?」
『心配するな、敦。隣で寝てるよ』
隣を見ると、本当にAが寝ていた。
『助け、られた…。好きじゃない"異能力"に。でも、彼奴の異能力じゃないから善かった』
彼の云ってる事が判らなくて首を傾げると、隣の部屋から叫び声が聞こえた。
『有り難いけど……もうあんな体験は2度と御免だ』
「治療中…?」
「聞いたぞ、小僧。七十億の懸賞首だと?出世したな。マフィアが血眼になるわけだ」
「そ、そうでした!どどど、どうしよう。マフィアが探偵社に押し寄せてくるかも!」
「狼狽えるな。確かにマフィアの暴力は苛烈を極める。だが、動揺するな。動揺は達人をも殺す。師匠の教えだ」
手帳を捲る国木田さん。
『………国木田、手帳逆さまだぞ』
ゆっくりと体を起こしたAが伝えると、国木田さんは固まってしまう。
「俺は動揺していない!マフィア如きで取り乱すか!仮令、今此処が襲撃されようと、俺が倒す!あれをこうして、こうばしっと動き!いい感じにぐっとやって倒す!」
『くはっ』
「笑うなァ!」
手振り身振りで説明する国木田さんの動きにAは笑う。
「ふん。奴等はすぐに来るぞ。お前が招き入れた事態だ。自分で出来る事を考えておけ」
そう云って立ち去ろうとする国木田さんは扉の前で止まった。
「ところで、小僧共。先刻から探しているんだが……眼鏡を知らんか?」
「『頭の上』」
国木田さんが出て行った後、僕は少し考える。
「あ……大丈夫?A」
『大丈夫だ。あの後ナオミちゃん背負って探偵社まで歩いたけど其処で意識が途絶えた。其れから目が覚めるまで記憶がないけど』
「大丈夫そうじゃないけど…」
『敦は?』
Aの瞳が、僕を映す。
『お前は大丈夫なのか?』
出会った時と変わらない、綺麗な瞳。
穢されてはいけない。
_______Aは、僕が護らないと。
「僕は大丈夫だよ。Aには絶対怪我させないから」
じっと見た後彼は「ふぅん」と云う。
『あんま、思い詰めるなよ』
「うん」
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時