奏 (ページ8)

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７話ページ8

嵐山side

『トリオン漏出過多。ベイルアウト』

迅が風刃で涼風のトリオンを削ってくれたおかげで、簡単に落とせた。だとしてもかなり涼風にはやられてしまった。さきほどの七歩蛇(アイアタル)でもトリオンを削られているし、佐鳥も落とされている。

『嵐山さん上です。』

「シールド」

置き土産だろうか。追尾弾(ハウンド)が宙から流星群のように８発が降ってきた。弾の勢いからして涼風のものだろう。いつの間にか設置されていたようだ。

それは、”追尾弾(ハウンド)”ではなかった。

それはシールドにぶつかるなり、爆発したのだ。涼風は最初からこれを狙っていたのか。だから弾トリガーと併用しないで弧月を使っていた。合成弾を作っているからもうトリオンが無かったのだ。

「炸裂追尾弾(サラマンダー)。か。」

まさか、合成弾を涼風が使うとは思わなかった。遠征前の最後のランク戦ですら、合成弾を使っていなかった。という事は、これが最初に合成弾を使った実践ということか。

『戦闘体活動限界ベイルアウト』

出水side

一本のベイルアウトの光が見える。嵐山さんのだ。相手は、米屋が相手している木虎と時枝。ただ問題は迅さんを相手している側が押されていることだ。時枝と木虎をすぐに片付けないといけない。

「よしよし。後はとっきーだけだな。」

Aside

気持ちが悪い。吐き気を繰返させるような痛み。音を聞きすぎたのだろうか。

「大丈夫……？A？」

「いつものことだし……大丈夫だよ柚宇さん。」

「やっぱり、休んだ方が良かったんじゃないの？」

柚宇さんもうすうすは気付いていたようだ。これが、副作用(サイドエフェクト)の影響だ。あまり、強い副作用(サイドエフェクト)でもない、戦闘に置いても役立つ場面なんてほとんどない。

「荒船くん読んでこようか～？」

「やめてぜったいやだ。」

冗談じゃない。荒船にこんなところ見られるなんて私のプライドが許さない。大体にして、今は荒船より強い。それなのにいつまでも半人前扱いする方が悪い。

「ランク戦してくる。」

私はふと立ち上がり制止する柚宇さんを止めて隊室を後にする。勿論ランク戦になんていかない。