奏 (ページ6)

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5話ページ6

「三輪。米屋と古寺はまだか？」

「もうすぐ合流します。」

「出水。」

「はいはい。」

「俺と風間隊と狙撃手(スナイパー)3人は総攻撃で迅をやる。お前と涼風は三輪と米屋と組んで嵐山隊を足止めしろ。」

「はーい。」

果たして、上手くいくのだろうか。私には全くその自身がない。

「どうした？浮かない顔して。」

太刀川さんには見られてたようだ。私は顔に出したつもりはないのだが、顔に出ていたようだ。

「太刀川さん。勝てる気がしません。」

「でも、お前のやる事は同じところをだろ？」

「わかってます。」

太刀川さんらしい答えだ。勝ち負けなんて関係なく私のやることは同じだ。

嵐山隊side

「ん？レーダーが足りないな。」

嵐山はふとレーダーを見て呟いた。

「私たちの方に来ているのでしょうね。この状態で単独行動に出るのは涼風先輩ぐらいですよね。」

木虎がそう推測する。この状態で嵐山隊を足止めするのは三輪隊、涼風、出水ぐらいであろうと簡単に予想がつく。いくら菊地原が居ないとは言え、風間隊や攻撃手が嵐山隊にくるはずがない。

そして、その中でバッグワームを付けて単独行動を取るのは涼風Aぐらいなのだ。

「涼風先輩の奇襲を警戒しつつ三輪隊を迎え撃つ形でいいと思います。」

Aside

『やるならさっさと始めようぜ。』

インカム越しに聞こえる出水先輩の声が耳の中で木霊する。もうすぐだ。

ヒューンと一筋の光と音がすぐ近くから見えた。狙撃だ。嵐山隊が狙撃できるのは佐鳥だけだ。

「佐鳥はっけーん。」

そう。あらかじめ、柚宇さんに狙撃ポイントを絞っておいて貰って私はそこに潜んでいたってわけだ。

『柚宇さん。佐鳥の逃走ルート教えて。』

『はいはいー。』

私は視界に表示された佐鳥の逃走ルートを辿る。私は元々吹奏楽部だったが、足は早い方だ。佐鳥ぐらいなら簡単に追いつける。

私はバッグワームを外し弧月を抜いた。佐鳥にも気づかれただろう。でも構わない。

「うわっ涼風こっちに来てるのかよ……！」

「じゃあね。佐鳥。」

私は弧月を佐鳥の首で横に斬った。

「ずりぃなお前の副作用(サイドエフェクト)。」

佐鳥はそう言い残してベイルアウトした。

「そんないいものではないよ。」

誰も聞こえない所で、言い捨てるように言った。