二百九枚目 ページ22
黒子side
「それにしても、山梨さんと黄瀬って…」
「なーんか、変な雰囲気だったよなぁ」
「なんつーか黄瀬が山梨さんの事好き?みたいな!」
「そうだとしたら意外すぎね?だってほら、どっちかというと山梨さんって大人しい子だし…」
「でも黄瀬に対してめっちゃ言葉強くなかった?」
「確かにな。見たことない一面だった」
口々に先ほどの二人に対して好き勝手言う先輩らの会話にはあえて口を挟まず、さっさと帰る準備を終わらせる。
お疲れ様です、と言って一人更衣室から出たがそんな僕にやはり皆気づかない。
…黄瀬君が、山梨さんのことが好きなのは中学の時から知っている。
彼の言動全てが物語っていた。
彼らの間に何があったかは知らないけれど、顔を見たことない彼女のことを好きになるきっかけはあったのだろう。
…しかし、黄瀬君は、本当に山梨さんの顔を見たこと無かったのかな。
今日の二人を見る限り、初めてのようには思えなかった。
黄瀬君はマスクとメガネをした、布団を被っていない山梨さんを一瞬で見つけて、かけつけて、彼女もそれをあたり前かのように受け入れていた。
その後に聞いた質問にもあやふやな返事だったし、…更に二人の間になにかあったのだろうなと思うと同時に、もしかして黄瀬君のおかげで山梨さんが布団を被るのを辞めたんじゃないかという考察も浮かんでくる。
歩きながらそんなことを一人考えていると、後ろから僕の名前を叫ぶ声が聞こえた。
「おい黒子!」
「…!火神君、」
振り返ると、先に出た僕を追いかけてきたのか少し息が乱れた火神君がいた。
その手には僕の定期が入っているパスケースが握られており、あ、と声が漏れる。
「忘れモン」
「すみません、ありがとうございます」
しっかりしろよ、と火神君に言われながらそれを受け取る。
そしてそのまま駅まで一緒に帰ることになった僕ら。
海常高校との試合の事や、黄瀬君のことを少し話していると駅につく。
すると火神君がふと立ち止まったので、僕も首を傾げながら立ち止まる。
「どうかしましたか?」
「アイツ、さ」
アイツ、…誰だろう。
もう一度首を傾げれば、ガシガシと頭を掻く火神君はまっすぐ僕を見て口を開いた。
「山梨。…なんかいろいろ言われてたけど、気にすんなよ」
「!」
「別にあの人らも悪口言ってたわけじゃねぇし…その、あーー…お前今日さっさと帰ったから怒ったんじゃねぇかって」
思って…。
と火神君の声は最後になるにつれ、小さくなっていた。
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しゅる(プロフ) - はぁぁぁ!!!テツくんも主ちゃんの応援にはニヤついちゃうよねぇぇ!!もしや主ちゃんってキセキ+αにモテる…? (4月12日 0時) (レス) @page28 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - しゅるさん» もしかしてキセリョの幼馴染みを見てくれていた方ですかね!? こちらの作品も見て下さりありがとうございます〜!絵も文も全く成長してないんですけど、そう言ってくれると嬉しいです…笑 ぼちぼち更新していきまーす!! (10月17日 1時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
しゅる(プロフ) - こたきんぐさん!!!お久しぶりです!!今更ながら見ました!!(遅い)やっぱり最高ですね!!!そして絵がうますぎる!!いろいろニヤニヤしながら見てます!((( (10月14日 13時) (レス) @page21 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 天使長さん» 嬉しいお言葉ばかり…!ありがとうございます!自分のペースになりますが頑張っていきたいと思います! (8月21日 20時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
天使長(プロフ) - シリーズ1作品目から愛読してます!号泣したり、爆笑したり、とにかく文才が素晴らしいなぁと思ってます!あと絵も神レベルで尊敬しかないです!無理せず更新頑張ってください!待ってます! (8月19日 9時) (レス) @page4 id: a49e61df0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2023年8月6日 12時