二百八枚目 ページ21
黒子side
「なぁ、黒子。山梨さんと同じ中学だったんだろ?」
「え?あ、はい」
「実際さ、山梨さん謎多いけど、一体どんな子なん?」
黄瀬君が誠凛高校にやってきた日の練習終わり。
更衣室で練習着から制服へ皆と着替えていると、上半身裸の主将にそう聞かれた。
他の部員たちもその話に興味があるようで、耳をこちらに傾けている。
どんな子…。
布団を被っていた中学時代の彼女のことは、僕の口から言うことでは決してないと思い、とりあえずそれ以外のことで思いついたことを口にした。
「…素直じゃない人、ですかね」
「? そうなの?」
ロッカーから鞄を取り出し、脱いだ練習着を片しながら少し考えた後に出た言葉がこれだった。
そんなことなくない?監督の言うこともちゃんと聞いてるし…などと先輩らの声に、今の山梨さんしか知らない彼らならそう思うのは当然かと思う。
それにもともと中学の頃から先輩達の言うことはちゃんと聞いていたんだ。
そういうところは変にきちんとしてるのだなと、当時印象に残っていた。
「他には?」
「変わってはいました」
「なんか余計謎に包まれていってる気がするんだけど」
主将からのツッコミはごもっともで、自分で言葉を選んでおきながらもどんどん山梨さんのイメージが変になっていっているのに気づく。
間違ったことは言ってはいないつもりだけれど、彼女の名誉を挽回するために でも、と僕は言葉を続けた。
「昔からとっても優しくて、その優しさがわかりにくい時もあるんですけど…いつも、僕たちを支えてくれていた人でした」
「ふーん、…あれだ!˝ツンデレ˝ってやつだ!」
おぉっ!と、何故か盛り上がる周囲。
もうそれでいいや、と思い開きかけた口を閉じた。
変わっているけど、お人好しで、素直では無い人。
主将の言う通り、謎は多いと中学からの付き合いの僕でも思う。
けれど案外わかりやすい人でもあると思う。
喜怒哀楽、布団を被っていた時でもわかった感情が、その障害が無くなった今余計わかりやすい。
僕に声をかけられてビックリしているところ、教室で友人らと話している時に楽しそうに笑うところ、授業中当てられてめんどくさそうに顔を顰めるところ、…黄瀬君と話しているときの、少し照れたように怒るところ。
そして都合の悪いことを質問されて動揺するところ。
あれはわかりやすすぎるくらいだ。
……ある意味彼女は素直な分類なのかとも思えてくる。
それとも僕が彼女を観察しすぎのせいなのだろうか。
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しゅる(プロフ) - はぁぁぁ!!!テツくんも主ちゃんの応援にはニヤついちゃうよねぇぇ!!もしや主ちゃんってキセキ+αにモテる…? (4月12日 0時) (レス) @page28 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - しゅるさん» もしかしてキセリョの幼馴染みを見てくれていた方ですかね!? こちらの作品も見て下さりありがとうございます〜!絵も文も全く成長してないんですけど、そう言ってくれると嬉しいです…笑 ぼちぼち更新していきまーす!! (10月17日 1時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
しゅる(プロフ) - こたきんぐさん!!!お久しぶりです!!今更ながら見ました!!(遅い)やっぱり最高ですね!!!そして絵がうますぎる!!いろいろニヤニヤしながら見てます!((( (10月14日 13時) (レス) @page21 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 天使長さん» 嬉しいお言葉ばかり…!ありがとうございます!自分のペースになりますが頑張っていきたいと思います! (8月21日 20時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
天使長(プロフ) - シリーズ1作品目から愛読してます!号泣したり、爆笑したり、とにかく文才が素晴らしいなぁと思ってます!あと絵も神レベルで尊敬しかないです!無理せず更新頑張ってください!待ってます! (8月19日 9時) (レス) @page4 id: a49e61df0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2023年8月6日 12時