元布団少女は高校生活を謳歌する。５【黒子のバスケ】

百九十八枚目 ページ11

Aside


やはり昼頃から雨が降り始め、夕方になった今もザーザーと降り続いている。
本来はロードワークをする時間があったはずだが、天候が悪いため時間が余った。

すると監督は一年対二年のミニゲームをしようと言い出した。



「じゃあ山梨さんは…得点板お願いできる？」

「はい」



私は相田先輩の隣で、得点管理をすることに。

五対五、十人ほど一年生がいるため二回に別れて二年生と試合をする。

一回目、黒子と火神大我が同じチームで試合が始まった。

やっぱり練習風景や体系から察していたが火神大我はかなりバスケのセンスがある。

ダンクはするわ、ジャンプは高いわ。
しかしなんだかイラついているようだ。

一年生にまた点が入り、得点板をめくる。



「あ、火神大我に三人ついた」



ボールも持っていないにも関わらず、彼は先輩らに囲まれた。
先まで好き勝手動いていたけれど、今はもう好きに動けない。あぁ余計イラついちゃってもう。



「あーやっぱ強い…」

「もういいよ、どうせ勝てないし…」

「もういいって…なんだよそれ！」



少し、既視感のある風景。

強い相手にやる気をなくした選手の胸ぐらを、火神大我がつかんだ。



「落ち着いてください」

「！？」

「ぶはッ」



そんなヒートアップした火神クンに膝カックンをくらわした黒子。

そしていきなり吹き出し笑い出した私。
笑い出す私に驚き、試合をしていない選手たちがこちらに振り向いたのがわかった。



「山梨さん…？大丈夫？」

「す、すんません…ふふっ、黒子がおもしろくって…」



黒子昔からそういうとこあるよな、と思い出しつつ笑っていると隣にいる相田先輩に引き気味に心配された。

なんかもめてるぞー、と先輩らが遠目から見ていたが、そんな中相田先輩は黒子の影の薄さに驚いているようだった。

そしてまた試合が始まり、空気が変わる。

黒子がパスを、出し始めたのだ。



「どーなってんだいったい！？」

「気がつくとパスが通って決まってる！？」



黒子の力を見て驚く人たちを見て、本人ではないのに私がなんだか得意げになってしまう。


ミスディレクションを使いこなす黒子のパスは誰にも止められない。


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