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桜の花びらが、気持ちの良い風に吹かれ頭上を舞う。
昨日行われた入学式は予想通り退屈で、式辞を読む新入生代表の生徒を見ながら大きな欠伸をマスク下で何度したことか。
その代表に、私は入学試験で一番点数を取っていたためはじめ選ばれていたが、きっぱりと断った。
面倒くさいし、目立ちたくもないし、だるいし。
集中なんてアホほどしていない入学式が終わった次の日の今日、校門を過ぎれば部活勧誘に精を出している先輩方が私に次々とチラシを差し出してくる。
「君美術部こない!?本格的な油絵も描くし、イラストだって」
「あいいでーす」
「卓球とかどう!?初心者でも大歓迎!!」
「大丈夫でーす」
それを華麗に流しながら私は自分の教室へ向かっていた。
「バスケ部―!バスケ部はいかがですかー!」
「お前商品じゃないんだから…」
「……」
少し離れた所から聞こえるそんな声に思わず反応してしまいながらも、私はまっすぐと歩いて行く。
ズレてきた厚いレンズがついたメガネと、マスクを定位置に戻し、風で前に来た後ろ髪を手櫛で戻す。
視界を少し邪魔する長い前髪の毛にちょいちょいと指先で触れた。
人が少ない場所でぐっと腕を上げ伸びをした際に、青く澄み渡った春日和な空を見上げれば、トンビが頭上をくるくると回っているのが見えた。
「……よし」
私の小さく意気込んだ声は、周りの声に消し去られたため、自分以外誰にも届かず消えた。
これからどんな人に出会って、どんなことがあるかなんて全くわからない。
退屈でつまらないかもしれない、刺激的で楽しいものかもしれない。
そんな想像のつかない高校生活が、今、始まった。
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しゅる(プロフ) - はぁぁぁ!!!テツくんも主ちゃんの応援にはニヤついちゃうよねぇぇ!!もしや主ちゃんってキセキ+αにモテる…? (4月12日 0時) (レス) @page28 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - しゅるさん» もしかしてキセリョの幼馴染みを見てくれていた方ですかね!? こちらの作品も見て下さりありがとうございます〜!絵も文も全く成長してないんですけど、そう言ってくれると嬉しいです…笑 ぼちぼち更新していきまーす!! (10月17日 1時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
しゅる(プロフ) - こたきんぐさん!!!お久しぶりです!!今更ながら見ました!!(遅い)やっぱり最高ですね!!!そして絵がうますぎる!!いろいろニヤニヤしながら見てます!((( (10月14日 13時) (レス) @page21 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 天使長さん» 嬉しいお言葉ばかり…!ありがとうございます!自分のペースになりますが頑張っていきたいと思います! (8月21日 20時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
天使長(プロフ) - シリーズ1作品目から愛読してます!号泣したり、爆笑したり、とにかく文才が素晴らしいなぁと思ってます!あと絵も神レベルで尊敬しかないです!無理せず更新頑張ってください!待ってます! (8月19日 9時) (レス) @page4 id: a49e61df0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2023年8月6日 12時