五十三枚目 ページ7
Aside
「と、とにかく保健室行こっか！」
「…うん」
無理やり作ったような笑声。
それでも私は頷き、さつきちゃんの隣を歩いて保健室へ向かった。
「あらどうしたの山梨さん、こんな時間に珍しいね」
「せんせい」
保健室の扉を開けると、いつもの優しい保健室の先生が帰る準備をしていた。
まだいてよかった。
「背中ぶつけて痛いんだ、湿布とかある？」
「…わかった、向こうのベットにあがってて。えっと、桃井さんは少し待っててね」
「は、はい」
私は先生に言われた通り、自分がいつも昼寝で愛用しているベッドへ靴を脱いで上がる。
先生はカーテンをゆっくりと閉め、私を周りから見えないよう囲んでくれた。
先生のこういうところが好き、配慮してくれるところが。
「背中、見せてもらっていい？」
「いいよ」
私は初めて外で布団を脱ぐ。
トイレとか汚いから脱げ、って思うだろうけど、したことないんだわ学校で。
しなくても大丈夫な体質でね。
先生はゆっくりと、優しく、私のだぼだぼのジャージをめくり、あらぁと声を上げた。
「赤くなってるわ。これはいずれ青くなるわよ」
「ひえー」
「歩けてるみたいだし、見たところ骨にはいってないみたい。心配なら病院に行けばいいと思う」
とりあえず冷やしましょう、と言って私の背中に冷たいタオルを引っ付けた。
いきなりだったので、変な声が出たけれど不可抗力である。
「湿布は冷やし終わった後で貼るけど、まあ少ししたらもう貼っちゃいましょう。すぐ直るわ」
「ありがと」
冷たい濡れタオルが生ぬるくなるころ、先生はタオルを背中から離し、ひんやりする湿布を貼ってくれた。
私はジャージをおろして、布団を被ってからベッドから降りる。
カーテンを開ければ、そこにある椅子に座って足をプラプラさせていたさつきちゃんと目があった。
「大事が無くてよかった」
「さつきちゃんも、ありがとね」
布団の中で笑みを浮かべてお礼を言う。
私達は保健室を出て、先生にさよならをいって体育館へ向かった。
「Aちゃん」
「ん？どしたの」
「きっとね、いや、絶対…もうこんなことあったらダメなんだよ」
歩きながらさつきちゃんはそう、哀しそうに言った。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません！いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます！ (2022年11月7日 23時) (
レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました！ちなみにこれは完結なんですか？ (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます！ぼちぼちやってきます…！！ (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます！お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたきんぐ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時：2020年5月23日 20時
