七十五枚目 ページ29
Aside
「Aっちって、そんな風にも笑うんすね」
「笑って悪い?」
「いーや逆に安心したというか」
そう言って黄瀬は覗き込む形で私を見てきたが、咄嗟にミンチちゃんでカバーする。
黄瀬はむっとしたようにいいや、といって顔を引いた。
「……そろそろ私帰らないと」
「何か用事あるんスか?」
「帰り遅いと心配されるの」
兄貴に今日は部活が無い日だと伝えているから、あまり遅くなると心配するのだ。
黄瀬は過保護なんスね、と言って空になった猫缶を回収していた。
「まあ。…じゃあね」
「またね!」
すくと立ち上がるとき、黄瀬の口元が見えた。
その口はにっこりと笑っており…、あんな出会い方したのにな。
人生何があるかわからないもんだ。
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時が進むのは早い。
四月、私たちは二年生へと進級した。
四月は入学式があったり、黒子のベンチ入りが正式に決まったりした。
二年生のクラスは四組になり、さつきちゃんと同じである。
さつきちゃんはえらく喜んでくれて、もちろん私もすごくうれしい。
そんな四組の隣のクラス、五組には紫原と黄瀬がいる。
いや、どっちも問題ではないんだけど、どちらかというと黄瀬がちょっと。
『Aっちおはよう』
『Aっち次移動っすか?』
『ばいばい!』
出会ったら必ず声をかけられるようになったのだ。
別に声かけてもかけなくてもどっちでもいいんだけど、その黄瀬の一言一言に周りはざわついたりするわけで、ちょっと…ね。
そして四月から入ってきた新一年生なのだが、やはり私の姿に驚いていた。
噂で聞いたのだが、びっくりした一年生が二年生や三年生にアレは何だと聞くらしい。
そして答えはだいたいほっといてもいい、と言われるんだって。
そうこうしているといつの間にか私、七不思議にされていた。
あの布団の中身を見た人は死ぬ、だとか。
布団の中身を見たら顔がドロドロに溶ける、だとか。
「ほんと失礼しちゃうわね!Aちゃんを学校の七不思議に仲間入りさせるなんて!」
「まあまあさつきちゃん。…気持ちはわかるからねぇ」
そりゃ最初は得体の知らないものにしか見えないだろう、ようは慣れである慣れ。
それに私の顔なんて見るもんじゃない。
七不思議通り、死んじゃうかもね。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時