三十二枚 ページ34
Aside
二日経った平日の放課後。
いつも通りの放課後をまた過ごし、何もなく時間がすぎる。
ゆらゆらと布団を揺らしながら体育館前を通り過ぎようとすると、横からドンっと誰かとぶつかった。
「いだっ」
「おっとすまない」
今度はしりもちをつかず、ただ数歩横に移動しただけで済んだ。
もう誰だよと少し上を見上げれば、そこには渋い雰囲気の大人の男性がいた。
そしてよろけた私を支えようとしたのか、男性の手が私に伸びているのが見える。
「…君は」
「はい？」
「山梨Aさんだね」
「え？」
見知らぬ男の人に自分の名前を言われて疑問符を頭に浮かべない私はいない。
しかしどうして知っているのかと考察してみれば、すぐに一つの可能性に行きつく。
「山梨さんのお孫さんの」
「…知っている人ですか」
「あぁ、仲良くしてもらっていた」
思わず身を引き、布団の中から彼をにらむ。
「しかし身構えることもないだろう。君とは小さい時何度か会っているんだけど、覚えてないか？」
「…今より小さいときはほとんど覚えてないんす。
…いや待って、覚えてる覚えてる耕ちゃんだ！」
待って懐かしすぎるとずいと彼に近寄る私。
覚えてる、本当に覚えてる。
彼は白金耕造、私が小さいころ山梨の家によく来ていて、私と遊んでくれたのだ。主にバスケ、そう、私の兄も彼とバスケをした覚えがある。
そして今はもういない父も、彼と庭にあったバスケットゴールで1on1をしていたんだ。
懐かしい。今は昔のことだけど。
「えぇ！凄い耕ちゃんだ！なんで帝光にいんのー！」
「ここのバスケ部の監督をしているんだ」
「言ってほしかったよほんとー！」
数少ない私が心を開きまくっている人の一人の耕ちゃんを前に、私は興奮を抑えきれない。
最後に会ったのはいつだったか、父の葬儀の時だったか。
それとも私が布団をかぶり始めた初期のころだったか。
もう忘れてしまったけれど懐かしいことこの上ない。
「大きくなったな」
「うん、大きくなったよ」
耕ちゃんは布団の上から私の頭をぽんぽんと撫でて、優しく笑ったような気がした。
その撫で心地は布団の上からでも、私が幼いころに撫でてもらった心地よさとは変わっていなかった。
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます！！(好き) 少々お待ちをっ！ (2020年5月22日 20時) (
レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます！！（お前は早すぎんだよ） (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます！そのお言葉嬉しい限りですうう！ほんとに更新遅いですが頑張ります！ (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます！(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前！？大昔から…！あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいｗありがとうございます！ぼちぼちですが頑張っていきます！ (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたきんぐ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時：2019年7月20日 12時
