イヤホンと蝉時雨【オリジナルボカロ小説】 (ページ5)

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新たなページ5

あ｢なっ、なんで…｣

こんな時だって、私は赤い顔を長い前髪で隠して下を向いている。
情けないなぁ、加藤さんにどんなふうに見えてるんだろう。

｢だって西園寺さんって、人に興味無さそうだもん｣

え、私ってそんなふうに見えてるの？？
友達欲しいと思ってるし。

あ｢私、そんなことありません…
人と話すのが苦手なだけで、
友達、欲しいです｣

｢そーなんだ。
てっきり、もしもの時に一人ぼっちになりたくないから一緒にいる人が欲しいだけだと思ってたんだけど｣

ビクッとした。
図星だと思った。
きっと私はホントは人に興味なんてない。
もしもの人がいたらそれでよかったんだ。

あ｢…そうです。｣

｢じゃー、私がその予備の友達もどきになってあげるよ。
私も欲しかったから、そういうの。｣

果たして、それは本当に必要な関係なのだろうか。
少なくとも、きっと私はこの子に求められていない。
加藤さんは、自分のため、自分を守るために私をそばに置いておこうとしているだけだ。

それってひどくない？？

いや、私だってそんなつながりを求めてたんだ。

｢お互い必要以上に関わらない。
傷つけもしないし、喜ばせもしない。
ただそばにいるだけ。
お互い、浮かないために｣

あ｢…はい｣

｢あとさ、いつまで敬語使ってんの？
コミュ障｣

あーあ、言われちゃった。
タメって、使いにくい。
自然と敬語が出てきてしまう。
それはきっと、相手より下の立場にいる方が楽だからだ。
そうしてきた結果、癖になってしまったんだ。

｢ごめん、じゃあ、タメで。｣

これが、私の初めての友達(仮)。