八話 悪戯を ページ9
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「其奴、何処で働いてる」
『働いてるって話は聞いたことないけど。場所も曖昧だし』
「じゃあ、違ェのか………悪ぃ、手痛かったか」
少し赤くなった私の手首を優しく摩ってくれる中也さんにちょっとした悪戯を。
私は手首を抑えて『あぁ、痛い!とっても痛い!中也さんったら乱暴なのね!!』と頬を赤らめて云う。
すると、やはり中也さんは机にバンッと両手をついて勢いよく立ち上がった。
耳まで真っ赤。
「その云い方やめろッッ!!」
『あぁ、明日も痛かったらどうしよう!』
「だぁぁかぁぁらぁぁあ!!」
『そんなに怒らないで、中也さん。私はいいのよ、我慢するわ』
「氷持ってくっから黙って待ってろッッ!!」
踵を返し、扉へと向かう中也さんの手首をパシッと掴む。
中也さんはあ?と手首を見、視線を上げて私の顔を見つめた。
私はニヤリと笑う。
『面白い反応をどうもありがとう。ご馳走様です』
「手前ッッ」
『あははははは!!本当に最高だよ、中也さん!』
笑い声を上げてバシバシ机を叩く私を、額に手を当てて白い目で見てくる中也さん。
彼は呟いた。
「………誰かに似てると思ったら、青鯖か」
『青鯖?中也さんの苦手な人?』
「苦手なンかじゃねぇ、嫌いなンだ!!」
バンッ
次は中也さんが机を叩く。
へぇ、と声を漏らした。
中也さんは思い出すかのようにして、その青鯖にやられたということを洗いざらいペラペラと話し始めた。
「会った時から嫌な奴だった。彼奴に何度爆弾を仕掛けられたかたまったもんじゃねェ。Aは真似するなよ」
『爆破っていい響きだよね。施設に居た時よくやってたよ』
「手前何やってんだ」
『だって、弟のこと莫迦にする奴に制裁を下そうと』
「(若し、此奴の云う敦があの虎だったらやべェ………)」
涼しい顔をしてまた一口珈琲を飲む。やっぱり苦いし、嫌いだ。
中也さんの怒りが溜まって来たので、食べていた苺のケェキを一口掬って中也さんの口元に持っていく。
中也さんは黙って口に入れた。
「甘ェ」
『ケェキだから当たり前。あ、私苺嫌いだから食べてー』
「はァ?自分で食べろよ」
『いいからいいから』
苺を口に運んだ中也さんの悲鳴まであと数秒。
咀嚼した中也さんは悲鳴を上げた。
『森さんに頼んで買ってもらった、激辛ソースをかけた苺のケェキ。美味しい?』
「美味しいわけねェだろ!!」
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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます!忙しくて放置していたら、もうすぐ1ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください!! (7月2日 11時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください! (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年3月8日 17時