検索窓
今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:8,186 hit

八話 悪戯を ページ9

·







「其奴、何処で働いてる」

『働いてるって話は聞いたことないけど。場所も曖昧だし』

「じゃあ、違ェのか………悪ぃ、手痛かったか」




少し赤くなった私の手首を優しく摩ってくれる中也さんにちょっとした悪戯を。



私は手首を抑えて『あぁ、痛い!とっても痛い!中也さんったら乱暴なのね!!』と頬を赤らめて云う。

すると、やはり中也さんは机にバンッと両手をついて勢いよく立ち上がった。

耳まで真っ赤。






「その云い方やめろッッ!!」

『あぁ、明日も痛かったらどうしよう!』

「だぁぁかぁぁらぁぁあ!!」

『そんなに怒らないで、中也さん。私はいいのよ、我慢するわ』

「氷持ってくっから黙って待ってろッッ!!」






踵を返し、扉へと向かう中也さんの手首をパシッと掴む。

中也さんはあ?と手首を見、視線を上げて私の顔を見つめた。


私はニヤリと笑う。





『面白い反応をどうもありがとう。ご馳走様です』

「手前ッッ」

『あははははは!!本当に最高だよ、中也さん!』





笑い声を上げてバシバシ机を叩く私を、額に手を当てて白い目で見てくる中也さん。

彼は呟いた。





「………誰かに似てると思ったら、青鯖か」

『青鯖?中也さんの苦手な人?』

「苦手なンかじゃねぇ、嫌いなンだ!!」





バンッ

次は中也さんが机を叩く。

へぇ、と声を漏らした。



中也さんは思い出すかのようにして、その青鯖にやられたということを洗いざらいペラペラと話し始めた。





「会った時から嫌な奴だった。彼奴に何度爆弾を仕掛けられたかたまったもんじゃねェ。Aは真似するなよ」

『爆破っていい響きだよね。施設に居た時よくやってたよ』

「手前何やってんだ」

『だって、弟のこと莫迦にする奴に制裁を下そうと』

「(若し、此奴の云う敦があの虎だったらやべェ………)」





涼しい顔をしてまた一口珈琲を飲む。やっぱり苦いし、嫌いだ。

中也さんの怒りが溜まって来たので、食べていた苺のケェキを一口掬って中也さんの口元に持っていく。

中也さんは黙って口に入れた。





「甘ェ」

『ケェキだから当たり前。あ、私苺嫌いだから食べてー』

「はァ?自分で食べろよ」

『いいからいいから』






苺を口に運んだ中也さんの悲鳴まであと数秒。


咀嚼した中也さんは悲鳴を上げた。






『森さんに頼んで買ってもらった、激辛ソースをかけた苺のケェキ。美味しい?』

「美味しいわけねェだろ!!」

九話 感謝の後に迷子→←七話 年上の橙色



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます!忙しくて放置していたら、もうすぐ1ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください!! (7月2日 11時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください! (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:早夜 | 作成日時:2023年3月8日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。