記憶の利点 ページ37
明日も同じ時刻に、今度はここに来るよう告げられ、鳴狐とは別れた。
別行動じゃないと、審神者や薬研に見つかるかも、という、鳴狐の計らいだ。
部屋に到着すると、得に何をした訳でもないのにどっと疲れが押し寄せ、床に倒れ込んだ。
時間も遅いし、もう、布団もひかずに寝ちゃおうかな……と思った瞬間、障子が音を立てて開いた。
「よお、蝮。遅かったじゃねえか」
薬研だった。
マズいことになった。
待ち伏せされていたのか。無理もない。
ひとまず飛び退き、距離を置く。
前は長谷部に間一髪で助けられたが、今回はそうともいかない。
応戦するしかないか。
懐から短刀を抜き、臨戦態勢をとる。それと同時に、薬研も同様に刀を構えた。
ぼんやりと蝮の記憶があるお陰で、戦い方はなんとなく分かる。
だけど。
薬研が飛びかかってくるのを、間一髪で自身の刃でしのぐ。
速いし、重い。
実力の差は歴然で、勝てっこないことだけが明確に分かっていた。
薬研は一旦身を引いたが、すぐに第二波が襲ってくる。
今度は攻撃を受け止めきれず、頬の横に小さく傷が入った。
すぐに壁際まで追い詰められた。
「っ……!」
薬研は、自身の本体を逆に持ち、柄のほうで私の腹を殴る。
驚くぐらいちょうど鳩尾に当たり、思わずしゃがんだ。形容しがたい吐気に襲われる。
薬研はそのまま、ゆっくりと私の首を絞めた。
私の体から酸素がなくなっていく感覚が、少しずつ、しかし、はっきりとしてきた。
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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年12月25日 22時