【刀剣乱舞】刀剣女士に転生したら顕現した瞬間に推しに殴られて刀突きつけられました。

奥の手 ページ36

「つまり、Aの霊力は使い捨ての貴重品。

告発の作戦に組み入れるのがベストだろうけど、無闇矢鱈とは使えない」

奥の手ってことか。

「あと、どれぐらい残ってるかって分かるの？」

「そこまで細かいところは分からない。使えるのは最少で……」

「分かりますよう」

鳴狐が言いかけたところで、お供が遮った。

「我々動物は人間より変化に敏感なものです。

刀剣男士の供となった今でも、刀剣男士よりも微妙な変化気づくことができるのです」

へえ。すごいな。

「霊力を込めるだけならば、あと四十振りはいけますよう。

ですが、手入れとなると……

通常刀剣は軽傷が二十振り、中傷が十五振り、重傷が十振り程度。

極刀剣は、軽傷が五振り、中傷が三振り、重傷が一振り出来るかどうか……」

思ったより、かなり少ないな。

調査日前日には、全員手入れされるし、手入れには、極力使わない方が良いだろう。

でも……

痛々しい、不動や乱、太鼓鐘の傷が脳裏を掠めた。

いや、他にも痛々しい傷を持つ刀はたくさんいた。

審神者は、ブラック本丸とバラさないため、刀は折らない。

でも、ブラック本丸だとバレた後は……？

もしかしたら、政府が取り締まるまでの間に、数振り折られるかもしれない。

「大丈夫」

鳴狐が言った。

「奥の手は、それだけじゃない。

まあ、本当に役に立つか、分からないけど」

「それって……」

「いずれ教えるよ。その時が来たら」

今は言えないってことか。

「ごめんね。本当は、もっと色々教えてあげたいんだけど。

だけど、不確定要素が多すぎる。きっと、それは君を困惑させるだけだろうから」

「いえ、大丈夫ですよ」

何とも思っていないように、そう言った。

でも、本当は、心から頼りにされていないのが、少し、悔しかった。

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