兄としての ページ14
「はぁー!畑仕事疲れたばい。今の審神者じゃあ、菜を売ることすらできん」
「でも、良い仕事ができました」
畑当番だった、博多と五虎退が帰ってきた。
「お帰り!ごこ!博多!審神者と薬研になにもされなかった?」
「薬研兄さん、いつもに増して審神者にベタベタされてました……。
目は合いましたが、危害は加えられませんでした」
「そっか。良かった」
そう言って、乱は博多と五虎退の頭を撫でる。
五虎退は嬉しそうにはにかんだが、博多は恥ずかしそうに手を払いのけた。
「乱兄さんはいつまでも俺たちを子供扱いしとる!お客様来とるばってん、恥ずかしか」
ふと、五虎退と博多には、目立った傷がないことに気がついた。
私が怪訝に思ってることに気づいたのか、乱がゆっくりと近寄ってきて、私に耳打ちした。
「まだ二人は極だけど、レベルが低い。
だから、この本丸で、ほぼ唯一薬研と互角に渡り合えるボクが、出来るだけ、二人の傷を代わりに受けてるんだ。
この本丸で薬研とまともに渡り合えるのは、前の主の初鍛刀のボクと初期刀の陸奥守さんぐらい。
だから、ボクらが守ってあげないといけないんだ」
「一期一振は?」
思わず訊いてしまった。
「彼は太刀だし、昼戦なら、大丈夫なんじゃ……」
言っている途中で、私は言葉を切った。
乱の顔が激しい嫌悪に歪んでいた。
「ボクは、あんなのを兄とは認めない。あんな奴は兄ではない。
あれは、実の弟を審神者に売ることで己の保身を図った、冷血無比なエゴイストだ」
「どういうこと?」
これ以上の深入りは危険だと分かってはいたが、思わず訊いてしまった。
「また今度話すよ」
そう言うと乱の顔は一瞬にしてさっきの明るい笑顔に戻った。
「二人に紹介するよ。この子は新しくこの本丸に来た子で、なんと刀剣女士です!」
「やっとむさ苦しい空間に花が咲いた」
「すごい!刀剣女士、初めて見ました!」
二人が凄いものを見る眼差しで私を見た。
「それに、傷を治す力を持ってるんだよ!ほら、僕の腕!」
「凄か!ここがブラックじゃなかったら一儲けできそうばい」
「これからは怪我をしても大丈夫ですね!」
二人からの眼差しが尊敬に変わる。
乱藤四郎は、ここでは兄なんだな、と思う。
勝手に弟っぽいイメージがあったけど。
さっきの言い方だと、一期一振は兄として機能していない。薬研藤四郎も同じくだ。
だとしたら、乱が兄のように、弟に接するしかない。
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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年12月25日 22時