御姉様と雪の日【青紫様リクエスト:御姉様シリーズ、雪の日】 ページ41
今回太宰さんと夢主様のお話となります。
中也さん不在の為、苦手な方はご注意くださいませ。
※
『げっ』
流華は商談を終えて外に出た瞬間、顔を顰めた。
辺り一面が白い。雪が積もっているのだ。
『参ったな』
ついていない日はとことん駄目なものだ。
愛車は先日の任務で負傷して修理中。
此処まで送ってくれた部下は帰してしまった。
今、自分が履いている靴はいつのもピンヒール。
おまけに、携帯電話の充電が死亡中ときている。
完全に立ち往生だ。
とにかく一服して対策を考えるか。
外套の隠しに手を突っ込んで、探し出した煙草を咥える。
『嘘だろ、おい…』
ライターが点かない。最悪だ。
先刻後にしたビルヂングで火だけでも借りられないか、と振り返る。
と。其処に、見慣れた砂色外套の男が立っていた。
「おや、どうしたんだい、流華?」
顔を覗かれて、悩むが…仕方ない。隠した処でこの男にはどうせバレる。
『雪で、立ち往生だよ』
「なるほど」
此れで解散になると思っていたのに。
ふわり。体が浮いた。
急に近くなった太宰の顔で理解した。抱き上げられたのだ。しかも何処ぞの少女漫画みたいなお姫様抱っこで。
『やめろ!離せ!恥ずかしい糞太宰!!』
「暴れないの!うっかり落としちゃうよ?」
云われて渋々、抵抗を止める。
「私、一回此れしてみたかったのだよね」
『…莫迦』
ひょろ長い癖に、何処にこんな力があったんだか。
「ねぇ」
『ん?』
「昔から、雪嫌いだよね、流華って」
『ああ、嫌いだ。起きない人間がいるからな』
貧民街ではよくあることだが、雪が降る程寒い朝は人が死ぬ。
明日は、自分か中也かもしれない。
『餓鬼の頃は其れが怖かった』
「…そっか」
太宰の腕に、あやすような力が込められて、酷く安心した。
「寒いし、今日は流華の家で鍋でもしようよ!中也も誘って」
『はぁ!?急に云われても材料ねェよ!!』
「じゃ、スーパー寄って帰ろ!」
上機嫌に鼻歌なんか歌いだす太宰に、流華は頭を抱える。
今日の夕飯は、カニ鍋になるんだろうな。
まぁ、いいか。
寒いのも、好きになれるかもしれない。
ぼんやり思って、白い雪を振り返る。
二人の後には、雪の上に、一人分の足跡ができていた。
――――
リクエストを頂きました。
青紫様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年11月30日ちょこ
学生喫茶【パピルス様リクエスト:学生シリーズ続編】→←めたもるふぉーぜ・鮪【桜様リクエスト:めたもるふぉーぜ未満続編】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時