【文スト】【文豪ストレイドッグス】短編集【中原中也詰め】其の6

赤ずきんと家族【黒林檎様リクエスト：「赤ずきんと人狼」続編】 ページ29

名前も家族も無くて、一人ぼっちだった少年は、今とても幸せです。

愛する人が出来ました。
彼女の名前は、流華。
赤ずきんの似合う人間の女の子。

そして。

耳と尻尾のある彼を、初めて愛してくれた人です。
彼女は、彼に名前までくれました。

『中也！』

一緒にいる時、とびっきりに甘い声で名前を呼んでくれます。
それを、中也は思わず尻尾が揺れてしまうくらい嬉しいと感じるのです。

「流華」

中也が、お返しに名前を呼ぶと、流華は笑ってくれます。

二人はとても幸せで。
森の奥深くに家を構えて一緒に住み始めました。

いつも一人ぼっちで、森の果実や動物を食べて飢えを凌いでいた中也には、流華との食事は、とても新鮮でした。

彼女は、料理が得意で、食卓は手作り料理が並ぶのです
それはとっても美味しくて。

「美味い」

素直に云うと、流華が照れくさそうに笑うのです。

『中也が喜んでくれて、嬉しい』

そう、頬を染めて。

最初、とても酷い事をしてしまった中也は、其れが申し訳なくて。
優しく、優しく流華を抱き締めます。

そうしたら、流華は大喜びで抱き締め返してくれます。
そんな時は、二人で口づけをして愛を育みました。

二人はとても仲良しでした。

1年後には、家族が増えました。

流華が、中也によく似た、人間の女の子を産んだのです。
中也はわんわん泣きました。

自分の子供に耳も尻尾も無くて嬉しかったのです。
この子は自分みたいな生き方をしなくても良いのだと、泣きました。

そして。
流華と女の子に誓いました。
いつか自分の終わりが来る日まで愛しぬくと。

子どもが出来てから、森の奥のおうちは一気に賑やかになりました。

名前も家族も無くて、一人ぼっちだった少年は、今とても幸せです。

――――

リクエストを頂きました。
黒林檎様誠にありがとうございます！
このようなモノでよろしかったでしょうか？
可能であれば感想をお願いいたします。

2016年11月20日ちょこ

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