malus＿1 (ページ16)

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A サイド

『っ、ゲホッ、』

苦しい、疲れた、止まりたい。

私は今、走っている。

公園に対って一直線に。

会ってどうする？

なんて言う？

合わせる顔なんてあるの？

自分に後ろ指を刺されている気分だ。

でも、足は止まらない。

最低なのは私の方だ。

うらたさんがあそこから動けないのはそこに死体があったから。

うらたさんが私の話を信じるのは自分が幽霊だから。

うらたさんが私ともう会わないほうがいいって言ったのは＿＿＿＿＿＿＿＿。

あぁ、嫌だ。

理解したくない。

苦しい。

息よりも胸のほうが苦しい。

でも、私なんかの痛みよりうらたさんのほうがよっぽど苦しいに決まってる。

思えば、私はうらたさんに触れたことがなかった。

否、触れさせてくれなかった。

なんで、なんで気づかなかったの。

なんで、言ってくれなかったの。

ねぇ、

『うらたさん！！！』

はぁはぁ、と息が乱れる。

寒い季節にも関わらず汗がでていて暑い。

私に背中を向けている彼はどんな表情をしているかわからない。

う「もう、会わないほうがいいって言っただろ」

振り返った彼の顔は歪んでいて体は薄くなっていた。