検索窓
今日:3 hit、昨日:43 hit、合計:282,141 hit

瞬きの音 ページ26

車に乗り込んで、助手席には甘い香り。
俺のバニラの香水より、心地いい香り。

じーって、窓の外を眺めてる。
膝の上に乗せた鞄をきゅっとゆるく握って。
月を見てるんだろうか。
聞こえるわけがないのに、Aちゃんのゆるやかな瞬きの音を感じた。


ノンアルとか言いながら、俺酔ってんのかも、

Aちゃんに。


「ねむい?」
月明かりが差し込む暗い車内の中で聞いてみた。
「…眠くないです」
そう言って少し丸まってた背中を伸ばして、
姿勢を正した。

その声は、絶対眠い。
かわいくて、好きで、心の中ではジタバタしてた。
ほんとにしたかったけど運転してたからね、我慢。


「寝てていいよ、車の中に置いてくから」
「え、ひどい」

なんて、文句垂れてたけどすぐに寝息が聞こえてきた。

運転中の些細な振動に起きては、
パッと体を起こして俺がいるのを見つけて
ちょっと安心したらしい。

「寝てていいよ」
「でも樹くん置いてくんでしょ」
くだけた話し方は、きっと眠いから。
「ちゃんと起こすよ」


その言葉で安心したのか、すぐ寝た。
「おやすみ」の返事は帰ってこなかったから、
結構熟睡してるっぽい。


俺の好きな曲をちっちゃくかけて
好きな子が隣にいて

俺もうこのままでもいいかなって
夢みたいなことを思った。

もう覚えてしまったAちゃんちまでの道。


家まで近くなった頃に、Aちゃんはふと目を覚ました。
「私、結構寝ちゃってました…すみません」
「寝言いってたよ」
「えっ!うそ!」
「ほんと。樹くんだいすきーって」
信号待ちに、チラッとAちゃん見たら、
信じられないって顔で俺のこと見てた。

100%ないのかよ。
それはそれで俺ちょっとヘコむわ。

伝わる体温→←偽物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (344 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
725人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 田中樹
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです( ; ; )こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました!素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:つき | 作成日時:2020年5月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。