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伝わる体温 ページ27

寝起きだからなのか、
普通よりゆっくり喋るし、なんか甘い。

「Aちゃん、ついたよ」
「樹くん、ありがとうございました」
シートベルトを両手で外して、髪の毛をちょっと整えたら、俺の目をまっすぐ見た。


「樹くん」
「ん?」

なんだこれ。
俺の方が、Aちゃんから目が離せない。
キラキラした目に映る俺が、キラキラしてる。


「…また一緒にごはん行くの、楽しみにしてますね」
Aちゃんが、助手席のドアに手をかけた。
離れてく、体温。


ちょっと待って。


悪いけど、

このままじゃ帰せないよ。



ドアノブにかけたAちゃんの左手を、
俺の右手で握ると、パッと振り返って
また少し乱れてしまった髪の毛のせいで
車内に華やかな甘い香りが漂う。


重ねたAちゃんの指に、自分の指を絡めてキュッと握ったら、そっと握り返された。



俺の胸をくすぐる香りの中で、

Aちゃんの肩に左手を置くと
少しビクっとした。


ちょっとこわい?

俺に任せてたら大丈夫だよ…



ぐっと引き寄せて、
顔を近づけて、鼻の先をほんの少しだけすり合わせたら、
その唇に俺の唇を重ねた。



何秒くらいだったかな。
でもたぶん一瞬。



名残惜しい気持ちで唇を離すと、
Aちゃんの目が潤んでた。

「樹くん…」
「なんて顔してんの」


だめだよ誰にでもそんな顔しちゃ。
俺にしか見せないでほしい。
どっかに閉じ込めておきたい。

香りだけ→←瞬きの音



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つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです( ; ; )こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました!素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つき | 作成日時:2020年5月5日 0時

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