偽物 ページ25
大抵女の子は一緒にごはん行くと
会計のときにトイレ行ったりとかするんだけど
Aちゃんは財布出して
「わたしも払います」って言う。
でも、もう会計終わってんだよね。
Aちゃんが「ちょっと待っててください」って
お化粧直し行った間に払っちゃってんの、俺。
「んーん、もう払ったから帰るよ」
「え、え、」
「帰るよー、ごちそうさまでした」
「あっ、ごちそうさまでした、おいしかったです」
戸惑いながらもお店の人への挨拶はちゃんとすんのな。
かわいいし、ちょっと面白い。
「樹くん払っちゃったんですか？」
「うん、いーのいーの、俺が誘ったんだから」
「ごちそうさまでした…」
「うん、それでいいよ」
いじらしいくらいかわいいから
思わずその頭に手を乗っけて弾ませた。
春の夜風に乗って、
女の子らしい匂いが漂う。
「じゃあ今度はわたしが払いますね」
「え、いいの？じゃあすーげえ高いところに連れてってもらおうかなー」
「それは、ダメです、ダメじゃないけど…」
「うそうそ、楽しみにしてるね」
行きより少し近くなった肩と肩。
感じる温度がむずがゆい。
「あっ、樹くんお酒…」
車へ向かう途中にAちゃんが急に大きな声を出した。
アルコール飲んでるから運転できないでしょってこと。
「だーいじょうぶ、バレないって」
「えー、ダメですよ！」
Aちゃんが、俺の腕をギュって掴んだ。
「っは、ごめん」
堪えきれずに笑った俺をさらに不思議そうに見る。
「あれ、ノンアルだったの、ずっと。予約したとき車で来るって言っといたから」
「えっ…じゃあわたしのお酒は」
「Aちゃんのお酒は、ホンモノ」
ちゃんとほっぺがピンクになってるもんね。
もともと少しぷっくりしてるほっぺが、
さらにぷっくりしてるように見える。
あのとき見た桜より、綺麗。
「…なんか…ズルイです」
「ん？なにが？」
俺だけノンアルだったこと？
「全部。」
ちょっとは俺のアピール効いてる？
まだ？
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つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです（ ; ; ）こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (
レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2020年5月5日 0時
