かんわ。 ページ17
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暗い暗い “ 黒 ” の底。
小さな体を、更に小さく折り畳むかのように膝を抱える少年がいる。
彼はその腕で抱きしめた膝頭へ顔を埋め、周囲の “ 黒 ” を２つのガラス玉がぼんやりと映す。
｢お前、なんであんなゴミ共を助けてんの？｣
更に濃い黒の影がひょっこりと顔を覗き込んでくる。
｢あれ、無視？｣
ひょこひょこと黒い影は少年の顔を覗き込みながら周りを歩く。
｢……おい、A。何か言ってみろよ｣
びくっと少年の肩が跳ねる。
｢──違う。あの子達は、良い子だよ｣
“ 黒 ” に染まったガラス玉の奥に、一筋の意思の光が差し込んだ。
｢あははっ！ずーっと黙ってたクセに、口を開いたと思ったらそれ？｣
黒い影は、さも愉快げにケタケタと笑う。
大きな声で笑ったかと思えばピタリと笑みも表情も消して、
｢お前がどれだけ、ああいうゴミ共に裏切られてきた？あの苦しみを忘れたのか？｣
憎しみに溢れたその言葉が、無垢な少年へ、感情の種を植え付ける。
｢──嫌。嫌だ。ぼくは、ぼくはあの子達と、｣
ずぶり、ずぶりと、少年の白い肌が “ 黒 ” へ飲み込まれていく。
｢──やめて。おねがい。おねがいだから、｣
ぽたり、ぽたりと、きらきら光る雫が頬を伝って落ちていく。
｢──もう、ぼくは、堕落しない。【
嗚咽交じりに声を紡ぐ少年は酷く不格好で、誰よりも、何よりも美しかった。
｢……お前なら、そういうと思ったよ。
──そう言ってくれると思ったよ！ありがとう！本当にありがとう！拒絶してくれて！！｣
静かに俯いていた黒い影は、大仰動作で両手を広げる “ 黒 ” が剥がれ落ちる。
“ 黒 ” へ飲み込まれる月虹の髪を持つ少年の前には、彼と寸分違わぬ容姿を持つ黒の少年がいた。
驚きに目を見開く月虹の少年へ、一つの混じりもない真っ黒な瞳で、愛らしい小ぶりな唇で、歪な笑みの形を作り出した。
｢あはっ！安心してくれよ。お前を──Aを誑かしたゴミ共は、ちゃぁんとおれが始末しといてやるからなぁ｣
腰まで “ 黒 ” に飲まれても尚抗っていた月虹の少年の顔を掴み、黒の少年は笑いながら押し込んでいく。
その時間はどれ程だったのだろう。
長かったようにも、短かったようにも感じる。
ただ一つ、変わらないのは、
｢……さぁて、やるかぁ｣
そこには笑う１人の少年しかいないということ。
.
続く
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胡桃(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年4月25日 5時) (
レス) id: a401c9d8a2 (このIDを非表示/違反報告)
スーエさん - 失格紋の最強賢者の漫画面白いですよね！！紋章が追加されててより面白くなっていて凄いです！小説読んでます！更新楽しみに待ってます！頑張って待ってます！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 36b7e070bd (このIDを非表示/違反報告)
恭 - めちゃくちゃ好みです！熾天使とかもう私の好み思いっきり当たってますやん(゜ロ゜)頑張ってください！ (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7ad60a1c01 (このIDを非表示/違反報告)
おせち - 面白いです。更新待ってます！ (2019年5月11日 15時) (レス) id: 1cf454f355 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月27日 21時) (レス) id: 16d9298981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狐皇 | 作成日時：2018年6月11日 1時
